Red blood No.11 護神像(No21)
イヤイヤイヤ、ありえないから!
どれだけ喰ったらあんなんなるわけ!?
いきなり天井を突き破ってきた巨人は首が痛くなるほど見上げないと顔が見えないほど大きい。
あぁ、わかった。
あれだけこの村に食べ物が豊富なのは、ほとんどがこの巨人の食事になるんだな!?
そうなんだよな!?
と、とにかく一人変な納得をしながらも巨人に食べられないように息を殺して扉の影に隠れる。
部屋の中のシオの様子を見ると、シオも巨人の大きさに驚いているようだった。
そりゃそうだよな!普通では考えられないよな!
砂漠に住んでるヤツがみな巨人サイズだったらどうしようかと思った!
「防人よ ようこそ六の村へ。オレはこの村の支配者のドレクセル」
自分で支配者とか言い切るなよっ!?
てか防人って何っ!?
「さっそくだけど、テメ――――
ドカア!!!
頭が高え!!!」
お前の方が頭が高ぇよ!!!
オレの視界に全身入んねぇんだよ!よく見ると、天井より頭飛び出てませんか?!
てか何あの破壊力!?足踏み込んだだけで床が崩れてますけど!?
これ巨人の家なんだろ!?自分の家どんどん壊していっていいのか!!!
そうこうしているうちに、シオと巨人の話は進んでいく。
巨人の手下達!拍手なんかしてんじゃねぇ!
どんどんアジト壊れていってんだぞ!!!
「つか、防人ドレクセル。少々話し合いを・・・」
「うるせ!!知ってるぞ神が出たらしいじゃないか、だから防人を全員やっつけてオレがすべてを手に入れんの!!!」
会話をしましょうよ!!!
シオが話し合いの要求をしようとするけれど、それを足蹴にして巨人はシオに殴りかかる。
踏み込んだだけでも、床が崩れるんだぜ、あんな鉄拳シオが食らったら一発で逝っちまうって!
いてもたってもいられなくなって、扉の中へ入ろうとする。
間に合うかわかんねぇけど、とにかくシオを助けねぇと!
「待て。」
「ぐぇ!レオ、何すんだよ!シオが死んでもいいのか!?」
「アイツはそんなにヤワじゃねぇ。」
「だからって!」
また、レオにフードを掴まれて先に進めない。
レオはシオがどうなってもいいのか!?
シオの方を見ると巨人の拳はもうすぐそこ。
「っ!」
「アールマティ!!合体っ!!!」
えっ?
「・・・アールなんとかって護神像か……そいじゃ、こっちもいかせてもらうぜ!!来い、アムルタート!!!」
ドコ!
なんか、うにょうにょ出てきたァーーー!!!
これはCGですか!?それともドッキリ!?えっえっ!?映画の撮影!?
目の前で起こってることは、現実と認知できないことばかり。
と、とにかくシオはあのシオの隣でいつもふよふよしていた機械と合体して巨人の拳を防いでいた。
それでも、衝撃はあったらしく罅がミシミシと装備に入っている。
イヤ、未確認生物物体がでていきたときは、今の砂漠ってすごいんだなと思ってたけど
今目の前で起こっていることはホントに現実なのか!?
次にでてきたのは、巨人よりもデカイ未確認生命物体。
これまであった未確認生命物体と違うことは、入っているマークがリサイクルマークではなくて
『護神像07』と描かれているものと植物みたいなもの
たしか、シオが合体したアールマティにも護神像04って描かれてあったような気がする。
記憶をたどると、自称防人やあの宇宙人にも『護神像』と番号。
・・・・防人っていうのは、『護神像』って描いてある機械と合体できる人のことを言うのか?
「何人たりともオレの上にいさせねぇ。同じ強さの防人もいらねぇ。」
巨人は、シオとアールマティと同じように、07の未確認生物物体と融合していく。
「みんなオレに恐怖し……オレの前にひれ伏せ!!!
神よ!!オレに世界を与えたまへ!!!」
どどどん!と言い放っちまったよ!あの巨人っ!
「……神さまって、人に世界を与えることができるのか?」
「神の血を世界の中心にある『蜘蛛の糸』の祭壇に捧げればどんな願いでも叶う」
「それって!松田を殺すってことかよっ!?」
「いや、それはわからねぇ。一つの願いを叶えるために、どれだけの血を用するかわからねぇからな。」
レオはどれだけの血が必要なのかわからねぇとか言うけど、どんな願いも叶うんだろ。
そんなの血が一滴で願いが叶うならそれこそ奇跡だ。
そんなことありえっこない。
ってことは松田は――?
「それにしても、くだらん願いだ・・・。だが、単純なだけに根が深いのかもしれんな。」
ボソリとレオが零す。
そう本当に、ドレクセルの願いは単純なだけに根が深い。
言うなれば子供の願いと同じだ。
子供だからこそ、どんなことも叶うと信じ、
子供だからこそ、そのために被害に会う周りのことを考えずに突き進む。
・・・だから、この村も村の人たちが苦難を背負わないといけねぇ。
そして、その力は強大。
だって、一つの目標まで何も気にすることなく、不安に潰されることなく進めるのだ。
「それにしてもあいつ・・・。自分の変化に気付いていんのかいねぇのか?」
「はぁ?シオの変化って?」
「あいつの左手だ。前はアールマティの能力で何でも喰える左手だったが、今はオレのアシャを喰ってそれも使えねぇ。」
「使えないとどうなるんだよ。」
「今は、アシャの能力を持った右手だ。大地の能力を持ったアールマティは植物のアムルタートとは相性が悪い。」
「じゃぁ、シオはどうなるんだ?」
「最悪の場合は死ぬな。アムルタートの持ち主は自分の野望のためなら相手のことを考えないやつだから。」
「ちょっ!それってっ!」
「でも、あいつに簡単に死なれちゃ俺も困る。あいつの中にはアシャがいるんだ。」
そういうレオの表情は苦しそうに歪む。
だからか、レオがシオのことを嫌っているのも助けようとするのも。
アシャはレオにとって大切な存在なんだよな。
「むおおおぉっ!!!」
「ちょいタンマー――っ!!!」
っ!?
見るとシオにまたシオに殴りかかろうとしている巨人。
さっきは巨人が生身だったおかげで硬化したシオも罅は入ったけど助かったんだろ!
今は巨人もシオと同じように『護神像』と合体していて、そのうえアールマティと相性の悪いアムルタート。
ガァン!と大きい音を発ててシオの体が石の壁を突き破っていく。
シオを殴った手がまた天井を壊してる!とか、戦隊ものだ!思っていたのが一気に吹き飛ぶ。
「シオっ!?」
「おい!行くぞっ!」
レオに声を掛けられシオを追っかけて走る。
後ろには、壁を無視して「うおおお!!!」と叫びながら走ってくる巨人。
2.3部屋進んだところでへばっているシオを発見っ!
「バカ逃げろっ!!!」
「でっ!レオ!!!」
「うわ・・・痛そう・・・」
思わず声に出てしまう。
イヤ、髪をぐっと掴まれたら痛いでしょ・・・。
レオがシオを引き上げて3人+αで逃走。
「シオ大丈夫か?」
「も来てくれたんすね。」
「“も”って何だ!“も”って!…俺はキサマを助けるためにきたんじゃねぇぞ。」
「うわぁ、レオそんな虚勢張らなくてもいいのに。」
「テメェ、殺されてぇか!?」
「でも、この建物に行こうって最初に言ったのはレオだし。」
「コイツのアールマティの中には俺のアシャがいるんだ!
そのアールマティが、さらにやつに食われたら俺のアシャが薄くなっちまう気がするだろ!!!」
「レオ・・・」
「レオってアシャを愛してるからな。」
「テメェっ!」
「レオっ!ココで刀出すのはやめようっ!」
はい。ごめんなさい!レオをからかうのはやめます!
「てか、シオ大丈夫か?思いっきり穴が開いてる気が……」
「植物と大地では相性が悪い。だから簡単に穴をあけられたのさ。」
「相性?」
「なんか、その護神像ってのにも相性があるらしいぜ。植物は大地に強く。炎は水に弱いみたいな。」
ちょっと違うが、五行相克みたいなもん?ぽい
ズン
っと音がして後ろを見るとそこから出てきたのは巨人。思いっきり壁が大破している。
それでもなお、巨人はあきらめずに、オレたちのことをガリガリと天井を崩しながら追いかけてきた。
と言うか身長に合わない家なら引っ越せよ!!!
BEAK + TOP + NEXT