Red blood No.10 村(No27)
「村だァー!!!」
「人だァー!!!」
「「食いもんだァー!!!」」
「ミィー!」
シオと手を組み合って喜びの声を上げる。
前方に見えるのは村っ!
長いあいだ歩いてここまでやっとたどり着いた!!!
途中メガネさんの言葉を疑ったりもしたけど、やっと着きましたよ!
それにシオとレオには聞けるような雰囲気じゃなかったから、これで此処がどこだかようやくわかる!
「すげぇ、砂漠のど真ん中にある村なのに木がいっぱい生えてるよ。」
「そうっすねぇ!木がいっぱい!六の村ってすげぇ豊か!」
イヤイヤ、豊かって・・・。
シオ一言でそんなに済ましてもいいのか?
水分がないから砂漠になっているのであって、そこに植物が育っているってことはおかしいことじゃないのか!?
まぁ、ココに来てから未確認生物物体とかうようよ動いているから、ちょっとしたことでは驚かないけどな。
ココからでも木が生い茂っているのがわかる『六の村』を見る。
「これは、まさか・・・」
「は?」
「こりゃ 絶対うまいもんをたらふく食えるすー」
レオが何か言ったような気がしたが、小さくてよくわからなかった。
その顔が妙にくぐもっていたので気になる。
その間にシオは走って村の方に行く。
そんなに急がなくても村は逃げないって。
「・・・・・・んっ?とレオは行かんの?」
「イヤ、オレは疲れたからゆっくり行く。」
「ミィ―!」
オレに賛同するようにプラ吉が声を上げた。
あんなに動いた後だから、もう走りたくない。
レオはどうするのかと思ってちらりと顔を向けると、そこには嫌そうな顔をシオに向けるレオ。
オレが2人に会う前もシオとレオは一緒に行動してたから仲がいいのかと思ったけど、どうやらそうじゃないらしい。
ココに到着する前のレオの行動といい、今の態度といい...。
この2人の間に何かあるのか?
「レオは―・・・「そんなこと俺の勝手だろ。テメェと一緒に村に行くなんざ、まっぴらなんだよ。」
「そ・・・そう・・・・・・」
「だが、逃がすわけじゃねぇ。俺はいつでもキサマの首を後ろから狙っている。」
「へいへい。わかりました〜〜っ。ほいでは、2人とものちほど。」
「さっさと行け!」
うわっ〜。レオかなりシオのこと気に入らないらしい・・・。
首を狙っているって、すげぇコワッ。
そういえば、シオがココに来る途中に疲れて寝っちゃった時も、シオに殺気を向けて刀を構えていた。
そのときは、一瞬顔を歪めてから、しゃがみこんだから未遂に終わったけど。
「キサマも村に行くんだろ。」
「んっ?あっ!おぅ。」
「それならば、忠告しといてやる。ココの人たちは機械のことを好いてねぇ。村に行くならソイツはココに置いていくんだな。」
「ミィ―!!!」
スッと刀で指されたプラ吉が声を上げた。
そう言い放ったままレオはスタスタと先を歩いていく。
プラ吉みたいな機械は人には好まれていないらしい、そう言えばオレらもここに来る途中もたくさんの機械に襲われた。
大半は、レオがザックザクと切り倒していったけど・・・。
たぶん、機械が嫌われているのは機械が人を襲うものだからだろうな。
くぃくぃとオレのズボンが引っ張られる感じがして、下を向くと首をかしげてこちらを見てくるプラ吉。
・・・・・。
「ちょ!レオー!待てよー!」
「ミィ―!」
大きな声を上げて走るオレにレオが嫌な顔をして立ち止まる。
嫌な顔をしているけれど、先に進まずに待っていてくれるのでレオは悪い奴じゃないと思う。
(シオには嫌悪感剥き出しだけど・・・。)
そして、走るオレのリュックからひょこりと覗くのはプラ吉の頭。
ここ何日か一緒にいたんだ。今更置いていけるかつーの。
結局は人に見つからなければいいんだから、狭いけどカバンの中で我慢してもらうことにしよう。
うん。てか、首をかしげたプラ吉が可愛らしくて、グッときたからじゃないからな!
「チッ。あのバカが。」
「うわっ。シオもろめちゃ捕まってるし....。」
「もう少し、慎重に行動すればいいものを。」
2人で連れて行かれるシオの後方を眺める。
どうやら、シオも実は自称防人と同じように『防人』らしい。
そのせいで男たちに捕まっていってしまった。
『防人』って一体何なんだ?
未だにわからない謎に首を傾げつつも、村の様子を見て毒を吐く。
だって、これはおかしいだろ。
ボロボロの服を着て休む暇なく働く人たち。
村はあんなに豊かで食べ物が豊富にあるのに、働いている人たちは痩せこけていた。
そして、その村人の中心に立っているは鞭を振り回している、村人と正反対な人。
誰の目から見ても、それは理不尽。
ピラミッドとかある砂漠では昔『奴隷制度』とかあったみたいだけど、今はそんなのないはず。
村人がしている労働は、あきらかに強制されたもの。
逆らったものには、鞭がしなっていた。
絶えずに ピシィ という音が聞こえてくる。
「・・・・・・レオ。ココではこんなの当たり前なのか?」
「イヤ、俺が前に来たときはこんな風に労働を強制されていなかった。」
「・・・・。」
「こんなに村は豊かじゃなかったし村の人たちはのんびりと自分たちで生活していたが・・・。」
「じゃぁ、何でこんなことになってんだよ。」
「誰かが無理矢理仕切っている。」
「・・・シオを連れてったアイツらか。」
2人で顔を顰めながら、だんだんと大きくなっていく建物を見上げる。
たった数時間の付き合いだったけど、仲間が捕まったなら助けにいかないといけねぇだろ。
それにしても、ココにはいろんな食べ物があるなぁ。
オレが見たこともないやつがいっぱいあるし、明らかに食べたらいけないような模様の入っているのもあるし・・・。
やっぱ、砂漠だから育つものが違うのか!?
キョロキョロと周りを見回していたら ゴンっ と頭に衝撃。
「まっすぐ歩け。」
「っー。」
フンと痛みに悶えているオレを無視してレオは先を歩く。
マジいてぇ。目に涙が浮かんでくる。
そんなこんなでやっていたら、ようやくついたこの建物。
すげぇ!
なんかオレ、ココに来てから驚いてばっかりだな。と思いつつもあの暴力一派に見つからないようにさっと中に入る。
「で!どっち!?」
「俺が知るかそんなもん!」
「ギャ―!!!向こうから人が来たっ!」
「うるせぇ!見つかるから黙っとけ!」
「ミィ―!」
「テメェ、機械連れてきたのか!?」
「だって置いていったら、かわいそうだろ!」
「ミィ―ミィ―!」
「あーもうウルセェ!キサマら少しは静かにしねぇか!」
「そういうレオもかなり煩いと思うんですけど!!!」
「ミィ!」
どたばたと建物の中を逃走中。
てか、あんなに建物の中に人がいるのに見つからねぇわけねぇじゃん。
とういうことで、只今全力走行。
「っ!止まれ!」
「えっ?グェ!?」
うへぇ。目の前に星がチカチカしてる。
着ていた上着のフードを引っ張られたので、首も絞まるわ散々。
「どーしたんだよ。」
オレが言うと、一つの部屋の中を顎で指すレオ。
「シォ モガッ」
「黙ってろ。」
「ひゃ!?にゃんはろ!(はぁ!?何だよ!)」
!
口を塞がれて目を白黒させていると、どこかから伝わってくる振動。
フルフルと建物が揺れる。
天井から、パラパラと欠片が落ちてきて・・・
ズバーン!!!
っ!?天井から巨人が降りてきたー!!!!
BEAK + TOP + NEXT
ぼやき。
ドレ様登場!サァサァ次は、ドレ様おお暴れですよ!
そしてこれを書いてるときに思ったこと、レオが弐の村でシオについて行く宣言をしたシーンですが
「地の果てまでも追ってゆき、取り戻してからぬっ殺す!!!」ってレオさん!?
ぬっ殺すって何ですか!?えっ?どういう意味?方言?それとも何か噛んじゃったの!?
・・・・突っ込みどころ満載です。