Red blood No.8 バカ(No33)




「うがァー。」

「ミィー?」




奇声を 発しているオレの後ろでプラ吉がかわいらしく首をかしげる。

そんなプラ吉を無視して手元にあるボタンをポスポスと押すけれど反応が全く返ってこない。

宇宙人もどきの優しい眼鏡の人に言われた『六の村』に向かって歩みを進めているのだけど

それも影も形も見えてこない。




♪〜




「うおっ!やっと返信返ってきた!?」

「ミィっ!」




やっと音楽が手 元から聞こえてきて、待ちに待ったものが届いたことを知らせる。

急いでパカッと開いたがそこに表されている文字は・・・・。




「神、何、困ってる、?=v

「ミィー!」




・・・・。




「テメェかプラ吉っ!妙な期待させるんじゃね ぇ!!!」

「ミィーミィーミィー!」




プラ吉をがしっと掴んで頭をグリグリやる。

だけど相手の頭は固い金属。手が痛 い・・・

それでも、ストレスでイライラしているオレは痛みにお構いなくプラ吉に攻撃をする

なんなんだよもう!オレはこんなメール待ってたんじゃな いんだっつーの!

なんで返信こないんだよ!



オレが『蜘蛛の糸』にらちられそうになってから『六の村』目指して歩き始めて結構時間 が経つ。

それから松田の携帯に電話やら、メールやらやりまくるけど、全く反応が返ってこない。

あいかわらず、この砂漠の中でもアンテナは3本 だし

真由や宇宙オタクとは違って松田の携帯には繋がらないってことはない

繋がっているのに相手が出ない。

.......オレって松田から嫌 われてるのか?


・・・・。


......自分で考えて悲しくなってきた・・・

携帯ばかりに目をやっているオレをプラ吉は気に入らないよ うで

さっきから「ミィ。ミィ。」と声を掛けてくるがオレにはそんなことに構ってる余裕がない

なんで返事が返ってこないんだよ・・・

さっき よりも肩をずんと落としてポテポテと砂漠の中を歩く

慣れってゆうのは恐ろしいモンで、最初は歩きにくかった砂の上も

結構な距離を歩くうちに上 手く歩く方法が分かってきた。

ホントにココは砂だらけ

オレの隣にはプラ吉がいるし、周りにも少しながら植物なんかがある

もしココが 砂しかない世界でオレしかいなかったらたぶん、独りでやっていけないだろうな...

何も反応が返ってこない携帯を握り締めて前を向く。












「神さまー!」

「ちょ!オィ待 てよ!!!」



「んっ?」



「神さまーっ!!!」




遠くから聞こえてくる声。

ってことは人がいるってことか!?

何にもなかったところに希望が生まれてガバっと顔を声がした方に向けた





「神さまーっ・・・・て、うわっ!

「っ!?」

「あのバカヤロウ!!!」

「ミィー!」




聞こえてきた 声の持ち主を確認する前に、オレの視界に入ってきたのはまたもや砂。

ちくしょぅー!何回、砂の中に顔突っ込めばいいんだよっ!

悪態をつきな がら体を起こすとそこには、見慣れない二つの影。

人っ!?

ガバチョと顔を勢いよく上げる。




「大丈夫っすか!?怪 我は!?わわわ、もれは何てことを・・・・」

「お前が前を良く見て走らないからだろが!」





一人の赤と青を髪を持つ少年と、 刀を腰に差している金髪の青年。

オレは口に砂が入った以外は何ともないんだが、少年は一人であたふたしている。

そんなおかしな二人を尻目 に、オレは少年の方の髪の毛に釘づけになった。

だってそうだろ、髪の毛の真ん中だけ青色なんだぜ、青色っ!

イヤー、某囲碁漫画で前髪が黄 色のヤツとかいて、

これって、どう生えてるのか!?

と思ってたけど、マジで頭から二色の毛が生えてるヤツがいるとはっ!

そんなこ とを考えながらじっーと少年(正確には少年の髪の毛だけどな。)を見てると、

それに気が付いたのか二人がオレの方を振り返った。





「よかったー。もれ、思いっきりあなたとぶつかったから、どうしようかと思って・・・。」

「・・・・あっ。イヤ、オレは何ともねぇか らいいんだけどよ。」

「ホントっすか!?怪我とか!?」

「イヤ、ホント何ともなし。」

「ミィー。」





オレが 答えたと同時に、それに賛同するようにプラ吉も声を上げる。

しかし、それに眉を顰めたのは金髪の少年だった。




ジャキン




「えっ?何?」




青年が鞘から取り出したのは、鈍い輝きを放つ刀。

えっ?ちょっと、待てよ!? どうなってるんだっ!?




「レオっ。やめるっす!その機械は何も悪いことしてないじゃないっすか!」

「うるさい。」

「レ オっ!」




ほうほう。青年の名前はレオって言うのか・・・。

じゃなくて!!!

機械って、プラ吉のことだよな!?

そうだよなっ。オレがココに来てからも機械に大量に襲われたし、

眼鏡の人も村に住んでる人は外に出ないって言ってたから、それは機械に襲 われるってことだからだよな!?

で、プラ吉も機械。 

・・・・。

でも、プラ吉はオレのことを守ってくれたし悪いやつではない。




「ちょ!やめ!―――





ピュッドン!





・・・・・。




うん。プラ吉は悪いやつじゃないはずだ。・・・・タブン。





「プラ吉!?えっと・・・レ オとか言う人、大丈夫か!?」

「レオ!?」

「ミィー。」




どうやら顔スレスレのところを通過したようで、相手は怪我はし ていないようだ。

ホッとしていると、その間にオレの方に寄ってくるプラ吉。




「・・・あはは。ごめんな。うん、コイツも悪気はなかった と思うから。」




空笑いをして、プラ吉を抱き上げる。

いきなりのことに驚いたのか、固まっている青年の変わりに少年が答えた。





「イヤ、こっちも悪かったす・・・。レオがいきなり・・・。それにしても、その機械貴方に懐いているんすね。」

「おぅ。何か知ら ないけどな。」




青年はムッとしていたようだけど、刀を鞘に戻したのでこっちに攻撃してくる気配はなさそうだ。




「機械はあんまり人に懐かないはずなのに。神さまみたいですね。」

「神さま?」

「はい、もれたちを創った赤き血の神さまのことす。」





自分達を創った?それはどういうことだ?

そう思いながらも頭の端に引っかかったのは、“神さま”という単語。

そういえば、プラ吉もオレのこと“神”って呼んでるよな

赤き血の神って、血が赤いだけで神さまになれるってことか...?

それなら、この世界の皆が 神になるんじゃないのか?

血が緑色ってなったら、宇宙人だろ。

そんなことをムンムンと考えていると、黙り込んでいるオレのことを心配に思った のか少年が顔を覗き込んできた。





「本当に大丈夫すか?」

「えっ!イヤ、大丈夫だから。」




そう いえば、コイツの声もどこかで聞いたことあるよな....

“神さま”って単語もプラ吉から聞く前にどこかで聞いたことあるし...





「そ ういえば、もれはシオって言います。で、こっちがレオ。よろぽこ。」

「あっ!オレは 。よろし・・・く?」




塩?しお?シオ?

あっ!




「松田っ!」




いきな り、オレが大きな声を出したことに驚いたのか二人の肩がビクッと揺れる。

“神さま”ってどこかで聞いたことがあると思ってたら、松田に電話をかけた時だ っ!

電話越しに、松田以外の子供っぽい声も聞こえてきて、“神さま”って!

少年がぶつかってきたことで忘れていたけど、松田っ!

メ ールの返信がこないけど大丈夫なのか!?

こっちを見て 何してるんだ? と見てくる青年を無視して

急いで携帯を取り出してメールを作成。

ポチリと送信ボタンを押した。




てーろりろり〜〜〜もらももら〜へらるらみもら〜〜〜ずんずずずっ




へっ?

聞こえた機械的な音はオレのすぐ近く。

はっ?何で?




「うほっ!ケイタイか らまた機械の音が!」

「ゲッ。またコレ鳴りやがったっ!」

「レオどうするすか!?」

「俺が知るわけないだろうが!!!さっきからコレ鳴りっ ぱなしでどうするんだよ!」

「それ神さまのケイタイだからもれ知らないすよ!」




掌サイズの物体を持って、目の前の二人はあた ふたする。

そう音の発信源はソレ。

・・・・。

何でコイツら松田の携帯持ってるんだよ!!!






BEAKTOPNEXT



ぼやき。
ハイ!やっと、主人公とシオ.レオ組が合流しました。
携帯のことでてんやわんやですが、これからど うなるのか?
それにしてもシオの口調が難しい・・・。