Red blood No.6 怪我(No40)





太陽はすっかり天辺まで昇り終わっている。

そんな 中、睨みあうオレと小動物。

こいつはいつまでオレに付いて来るんだよ!!!





「ミィー。」

「くっ。」




そんな、可愛い声を出したってダメだからな!

そんな、可愛らしく首を傾げてもダメ!

なんだか、小動物の 目にキラキラと星が見えるような気がする。

・・・・。





「くぅ。」





ま、負けた!

ちょっと、あの可愛らしさに当てられてしまったぞ。

しゃがみこんだオレに、小動物はトテトテと近寄ってくる。

反則だ!

ハ・ン・ソ・ク!!





「っ!」




下についた腕が痛くてそっちを見ると、血が固まって黒ず んでいた。

げっ!

えっ?こーゆうとき最初にどうすればいいんだ!?

消毒!?

消毒液持ってねぇ!

そ、そうだ!傷口洗わねぇと!

荷物からペットボトルを取り出して傷を洗おうとするけれど・・・・。



怪我をしているのは右腕。

ペットボトルを持っているのは左手。

どうやって、洗えつーんだよ!!

オレの腕は2つしかないんだってば。

ス ッ。

左手に持っていたものがなくなって、

ふと見ると小動物がペットボトルを開けようとしている。

キュポッ。

とふた を開けたと思ったらトクトクとオレの腕に水をかける。

こいつ何気にいいやつ?

そう言えば、追ってきた機械が壊されたのは

オレを守ってくれたからかもしれない。



血を落とした傷はもう塞がりかけていた。

ペットボトルの水をタオルに含ませて、今度 は小動物を拭いてやる。





「ミィー。」

「こら!動くな!!!」





昨日、オレがつけて しまった血を拭く。

血が取れてきれいになったし、荷物をリュックの中にしまってオレも立ち上がった。






「じゃ ぁな。」





そう言って、歩き出す。



トテトテトテ


トテトテトテ



な んで、コイツはついてくるんだよ!!!

数歩後ろをついてくる小動物。





「ばいばい。」




振り返って手を振ってそう言うが、なぜか首をフルフルと振ってくる。

ガー!!!何なんだよ、コイツは!!!

ついてくるってことは俺と一緒に行きたいってことか?




「ミィー。」

「はぁ、おいで。」




ため息をつきながら言った言葉に嬉しそうに飛びついてくる。

落とさないように抱きしめると「ミィ。」っと言って見上げて きた。





「 〜♪」

「んっ?」




携帯の着信音が鳴って、メールが届いたことを知らせる。

パカッと開いて見てみると・・・。




「ヨロシク。プラテリーナ8世=H」




やっぱりコイツがメ ールを送ってやがった。

メールを見たと同時にミィミィ自己主張してくる小動物を見ながら思う。

えっ?

てか、プラテリーナ8 世?

8世ってことは、1世から7世までいるってことか??

・・・・じゃなくて!!!

コレが、コイツの名前!?

お腹 のマークはプラスチックの略じゃなくって、プラテリーナ8世の略!?

・・・・。




「まぁ、こちらこそよろしくプラ吉 。」

そう言った途端、腕の中で鳴き声がよりいっそう大きくなったけど知らんぷり。

プラテリーナ8世とか長いじゃねぇか。

もうプラ吉でいいプラ吉で!

そう思いながら歩き出す。




ゴォオオオ




「は?」

「ミィ?」





大きな音がして、頭上を通り越していくのは、とてつ もなくデカイ機械。

それが高速で移動していく。

なんなんだアレ!?

デカさとスピード、アレ異常じゃないのか!

ク ジラのように見えるソレは、一直線に遠くに微かに見える白い建物に向かっていた。

っ!

てか、あの建物もありえねぇって!

その建物は立っているんじゃなくて 空?

空の上から垂れ下がっているように存在しているのだ。

ばっ!どうやって建ってるんだよア レ!

空に立てられるわけないし、そしたら落ちてくるつーの。

それか、アレは飛行石で浮いているとか!?

でも、それもあり えない。

時々吹く風に煽られることなくソレは立っている。

わけわかんねぇ。

唖然としてそれを見つめた。





ビュオン





今度は何!?

風を斬る音がして、またもや高速で頭上を 過ぎていく何か。

それはクジラとは違い、機械にそのまま人が乗っかっているもので

あんなに、高速で移動しているのによく振り落とさ れないよな。

という疑問が浮かんでくるがそれは頭の奥にしまって置いた。

それよりも驚くことは・・・。



何かでてき た!?

ぽろっと持っていたオペラグラスが落ちる。

慌ててそれを拾って砂を払った。

もう一度覗き込むと、宙に浮いている 人。

ひと、ヒト、人!?

普通に考えたらありえないつーの、人が宙に浮いてるとか!

まばたきを一回してから、またオペラグ ラスを覗き込んだ。

けれど、やっぱり宙に浮いている人。

タ、タケコプターでもつけているのか?

と思ってその人の頭の上を よく確認する。

へん!タケコプターなんてないじゃねぇか。

その代わりに見えるのはうようよしたコード。

アレも機械なの か!?




「ミィ?」

「・・・なんでもない。」




肩をおろしたオレを腕の中のプラ吉が心配そうにこ っちを見てきている。

ははは、ただタケコプターじゃないのにへコんでただけだから・・・。

と言うか、オレはタケコプターよりも、どこでもド アの方がよかったな。

ついでにオレは、どこでもドア派?タイムマシーン派?と聞かれたら

どこでもドアと答える。

だって、未 来を見るのって怖いじゃねぇか。

そりゃオレにも未来を見てみたい気持ちがないわけでもないが

やっぱり怖い。

だって、何年 も先の未来のオレがどうなってるなんて分からないんだから。




「げっ!!!」

「ミィ?」




プ ラ吉、不思議そうに可愛らしく首を傾げてもダメだ。

説明する暇なんかねぇ。

すでにオレは逃げ体勢に入っていて、リュックの中にオペラ グラスもしまった。

だって、オレの頭上を高速で過ぎていった人がこっちに近づいて来ているのですよ!?





BEAKTOPNEXT







さてさて、ちゃんと原作沿いに持っていけたと思いつつも。
これまたオリジナル話に入ってしまう。
次はようやく人物キャ ラが登場!!!
言わずとしれたあの人が!!!