Red blood No.13 顔つき(No34)





「うぉら!!!覚悟しやがれコノヤロ!!」

「……あら?いねぇ?」

「窓が開いてるからそこからに逃げたっぽい!! 探そう!」

「おう!!!」




「「・・・・。」」



バタンと扉が閉まる音がしたので手下達は出て行ったみたいだ。

キィと音を発て床にある扉を開けて、部屋を見渡す。




「ふぅ。どうやらホントに行ったぽいな・・・」




部屋の中には今、オレとシオそれとこの隠れていた床の存在を教えてくれた子供しかいない。




「ありがとな。助けてくれて」

「いや、お礼はいらねぇぜ。これも『忍法隠れ身の術』が成功したから!
 やつらは2年前に来たばっかりだから、この村にこんな隠し部屋があるとは思うまい!」




自信満々に言い切る目の前の子供。

イヤ、そもそもコレは『忍法隠れ身の術』って言うのか?

いきなり窓から入ってきて、この床の存在を教えてくれた子供と一緒にシオを抱えて床に隠れたことで、手下から隠れられたって言ったらそうだけど。

『忍法隠れ身の術』とは違う気がするのはオレだけか?

・・・・うん。違う気もするけど、黙っとこう。

『忍服』を着てて『忍法』って言ってる時点で『忍者』を意識しているんだと思うけど

・・・・うん。『忍者』って言う文字が逆だってことも黙っとこう。




「で、お前は誰だ?さっきは防人と一緒にいなかったよな?」

「あ・・・あぁ。オレは

「そうか。俺はこの村の子フラン」




そうフランは言い切る。




―――― にしても、この防人……変な伝染病じゃねぇだろうな?」




未だにガタガタと震えがおさまらないシオを心配にフランが見る。

プラ吉もアールマティも心配そうにシオのことを見ていた。

でも、今のオレにはシオが苦しんでいることを見ているしかできないんだ。

グッと拳を握ってから、ガサゴソとリュックの中を引っかき回す。

そして、やっと探し出したタオルでシオの汗や涙なんかを拭いた。





一秒なのか十秒なのか、一分なのか一時間なのか・・・・・・・・・時間だけが過ぎていく。

・・・シオは・・・・大丈夫だ・・・・・よな?




「・・・・・ミィー」

「シオ・・・・」

「しっかりしてくれよ。あんた、体中の汁が流れ出るぜ・・・あんたにゃ、防人らしく悪人を追っ払ってほしいんだけど・・・・・ほれ水だ!忍法水遁の術!!!」




フランがキュポンとひょうたんの蓋を開けてシオの顔にかけてやる。

それでも、シオの苦しそうな声は続く。

大丈夫、きっと大丈夫さ。

プラ吉がオレを安心させるように寄り添ってきた。

うん、大丈夫。

自己暗示のように唱える。




「あっ・・・」

「どうしたのさ?」




フランがオレの顔を覗き込んできた。

今・・・・・・。



がばっ!




「うわっ!」

「 ッ!シオ!!」

「防人さん!!!」



勢いよく起き上がったシオ。

シオは自分の掌をじっと見つめる。

その額には汗が少しだけにじみ出ているけれど、さっきみたいに苦しそうな息遣いじゃない。

自分の掌を見つめているその姿は、自分の力を見つめているよう。




「シオ!大丈夫か!?」

「防人さん!大丈夫!?」




オレとフランの言葉がぴったりとそろう。

それにシオはゆっくりと頷いた。

、フラン。心配してくれてありがとっす。今は力がどんどんと沸いてくる気がして」

「じゃぁ!アシャと語りあえたんだな!」

「はい。苦しかったけど、アシャの願いも防人の願いも」

―――― よかった・・・」




ほうと息をつく。





「さぁ、!レオのところに急ぐっすよ!村の人たちも救わなければ!」

「お、おぅ!」

「ミー!」




さっきとは打って変わって、拳を振りあげるシオに安心する。

ホントよかった。

どうなるかと思ったときは相当焦ったけどな。


さぁ、次はレオだ!

レオは元防人なんだろ?

未だに防人っていうのがなんなのかわかんねぇけど。

とにかく『護神像』と合体するやつのこと言うのはわかった。(なんか、ホントココはサハラか?)

ドレクセルと戦って勝ってればいいけどな。

今はその防人の力はシオの中にあるみたいなことを言ってたし・・・。




「フラン、ドレクセルってどこにいそうだ?」




とにかく、村の人も助けなければいけないらしいから目指すはドレクセル。

あの石頭の巨人のところに行かなきゃいけねぇのは、心から遠慮したいけど、そうも言ってられねぇ。

乗りかかった船だ。最後まで乗ってやる!




「わかった。案内するぜ!」



そう言って隠し通路の先に進んでいくフランにシオ、オレと続いていく。




















あー。大丈夫じゃなかったみたい。

上からはムチを打つ音とともに、たぶんドレクセルの手下だと思う奴の高笑いが聞こえてくる。

シオのことを言わないのはすごいと思うけど、シオもドレクセルも敵だと、この場で言ってしまえるレオって・・・。

まぁ、根はいいヤツだと思う。




「遅かったす!レオが酷い目に!!」

「ちょい待て、もうすぐ出口だ」

「急いで!レオは大切な知り合いなので!!」

「っ!くそ。ちくしょう かちょいーぜ!それでこそ、防人だ!俺はあんたみてぇな防人に憧れてたんだ!!」




握りこぶしをつくって、涙ながらにフランが語り始める。

あー、フラン?一人お取り込み中のところ悪いけど、早く行かないとレオが―――

と言うか、なんだか少し上が静かになったような気がしなくもないですがね。




「あんたなら任せられる!!絶対やつを倒してくれ!!」




ちょ!声が大きいって!!


今まで聞こえていた、ムチを打つ音や笑い声が聞こえなくなる。

あわわ、ヤバいんじゃ・・・?




「この秘密の通路でドレクセルの部屋に侵入できる!!やつのイスの裏手に出るはずだから、フイ打ちを狙おうぜ!」




うわっ。卑劣っていうか、卑怯っていうか・・・。

あーはは、フランさん、少しつっこんでいいなら、こっちにあっちの声が聞こえてたってことは

あっちにもこっちの声がきこえてるんじゃ・・・・?




「じゃ、行くぞ!忍法背後攻撃!!!」




ちょ、待てって!!

オレが止める間もなく、フランはずばんと隠し扉を開けた。

っ!?




「「「「「・・・・・・・・。」」」」」




その場にいる、全ての皆さまが沈黙をされました。

ぱちりとオレたちとドレクセルの視線が合う。




「ちょ!待てフラン!オマエ、ドレクセルの背後に出るって言ったよな!?思いっきり真正面じゃねぇかよ!」

「そうすよフランっ!!」

「「・・・って、ギャー!!!




タンマ、タンマ!会話中に攻撃するのはなしだつーの!

どんな悪役だって正義の味方が決めゼリフを言ってる間は攻撃しねぇんだぞ!!

それがどんなに、ありきたりで。それがどんなに、長ったらしくでもだ!

オレらの場合さ、決めゼリフでも正義の味方でもねぇけど、卑怯だぞ!

バシバシとドレクセルが頭のうにょうにょで攻撃してくるのをなんとか避ける。

うわっ、危なっ!

地面は硬い岩なのにもうボロボロだ。




「くそっ!イスをずらすとは、なんて頭脳派な!!」

「違うだろ!!」

「そ・・・そうかな・・・」

「シオもそこで納得するな!!」


「・・・・・何やってるんだ、キサマらは・・・」




漫才のような会話をするオレらを呆れたようにレオが見てくる。

あっ!レオ、無事だったんだな!




「レオ、大丈夫か!?・・・・・って一体何プレイ?」




ギロリとレオがオレのことを睨んでくる。

ギャー。睨んでこないでレオっ!

だって、手首を上に吊り上げられて。足に枷つけて・・・

これを何プレイと言うんでしょ。

ギャス。だから睨んでくるなよ!!




「オレのことはいい。シオ!・・・・アシャは応えたのか?」




レオのその問いにシオは手でOKマークをつくる。

それを見たレオが「そうか・・・」と少しだけ目を伏せた。

レオ・・・・。


って!そんな場合じゃねぇ!!

なんか、ドレクセルの頭の上のうにょうにょが高速で動いてて、心なしか風を斬る音までしてるんですけど!!




「逃げたと思ったぞ!戻ってくるとはなかなかいい度胸だ!」

「逃げるかい!レオがもれのために作ってくれた時間す!絶対無駄にしない!」

―― っ!勘違いするな。テメーのためじゃない、アシャのためだ!!
 だから負けは許さねぇ!!負けたらテメーへのとどめは俺がさす!!」




こくりとシオが頷いた。

素直じゃないんだな、レオって。

ドレクセルが自分たちの部下を下がらせる。

あー、一言つっこんでいい?

部下の一人のひげ男。ズボンのチャックが開いてるみたいなんだけど?

六の村ではそれが流行ファッションとか?




、フラン!レオをたのむす!!」

「お、おぅ!」

「ホイきた!忍法救助隊!!」




・・・忍法救助隊って・・・・それ俺も入ってるのか・・・・?













BEAKTOPNEXT