やばいやばいやばい。
何がやばいのかって?と、とにかくやばいのですよ。
学生鞄片手にひた走る。もう全力疾走だっつーの!車は急に止まれません!デス オア デス!
カラカラと軽い音を発てる鞄の中身よりも俺の心臓の音の方が耳に響いてくる。(ついでに中身はケイタイとお菓子とその他もろもろ。今時の若者しょ俺。
って、ずれたァア!と、とにかく今は走るのみ。まだ死にたくないのデス!う、後ろは怖くて振り向けないっ


、どこ行こうとしてるの?」
「――― ッ!?」


死への直滑降!死神様が光臨なされました。(なんでコイツこんなに足速いの!)
俺 マ ジ や ば い!
只今、悪魔と鬼ごっこ中なり。
ヒィ!悪魔が微笑んでいらっしゃる!(こ、こういう時はどうすれば!?


「や、やぁ、ひばりサンきぐうですね(やばいやばいやばいやばい)」
「そうだね、すごく奇遇だね」
「・・・・」
「・・・・」


ギャー!!!沈黙やめて!沈黙やめて!怖いからっ


「いいてんきですね、ひばりサン」
「そうだね。で、その片言な喋り方やめてくれる?咬み殺すよ」
「・・・・ヒィ!」

構えられるのは、所々赤黒く染まったトンファー。
その染みは何ですか?って聞いちゃいけないね!いけないよ!と言うか、聞かなくてもわかっちゃうよ!
と言うかですね、俺がこんなに息切らしながら走ってるつーのに、きょーやあなた息一つ乱してないってどういうことですか


とは鍛え方が違うからね」


そうだよね。きょーやは天下も恐れる風紀委員長サマだもんね!どうせ文化系の部活に所属している俺とは違うもんね。
・・・・て、あれ?俺言葉に出したっけ?(きょーやってエスパー・・・?すげぇ!)


「言っとくけど、僕超能力なんて使えないから。全部顔にでてる」
「ゲッ、マジ!?」
はホントわかりやすくていいね」
「(・・・嬉しくない)そういうきょーやは見事に鉄の仮面をかぶりこなしてるね」
「咬み殺すよ?」


ヒィー!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ちょ、きょーや冗談だって、冗談!それくらいわかってっ


「で、いつまで鬼ごっこ続けるつもり?」
「きょーやが諦めて、くれるまでっ」
「ふーん」


なに、その何か含んでそうな言い方はっ
だって止まったらどうなるかなんて目に見えてるじゃありませんか。わざわざ自分の肉体悪魔にさしださねぇよ
というかきょーや余裕綽々だね俺はもう必死なんだけど、足もパンパン。ぜってぇ明日きんにくつ――


―― ヒュッ


「うわぁあぁああ!?」


頭の上を通り過ぎたトンファーを避けようとして身体が前に傾く。やば、マジで地面とキス!?



「ぃつっー・・・」


何とか体勢を整えなおして、擦りむいたのは手のひらのみ。
うわわ、俺の手がべろんべろん。とこどころ血が出て皮が捲れてるし、なんだか見てると気持ちわるい。
ひ、ひりひりする。


「きょーや!俺が部活できなくなったらどうしてくれる!」
「そんなの僕には関係ないね。と言うか、が部活できなくなったら喜ぶ人がいるからいいんじゃない」
「そんなことねぇ!つか、誰それ!?」
「僕」
「・・・・・」
「・・・・・」

・・・・・。

あ、今の沈黙はきょーやが小躍りして喜んでるとこ想像して寒くなったからじゃないぞ。


「また失礼なこと考えてるでしょ、
「え・・・や!そんなことないから!!」
「ふーん・・・・ま、僕にはどうでもいいけどね。そうそう僕、風紀委員の仕事まだ残ってるから」
「へー。じゃぁ、さっさとどっか行けよ(やった!これできょーやが、どっか行ってくれれば助かる!」
「(だから、顔にでてるって・・・)じゃ、そう言うことでこれは僕が預かるから」
「あーもう、なんでもいいから早くどっか―― ギャー!!それ俺のカメラ!」


きょーやが手に持ってるものを見て、焦る俺。鞄の中を急いで確認すると、俺が探しているものは鞄の中には入っていなかった。
と言うことは、きょーやの持っているそれが俺のってことになるよな。
やばいやばいやばいやばい。まじやばいって!


「返せよっ!」


今回の鬼ごっこの原因を持ってきょーやはヒョイと避ける。
さ、さけるなぁー!!
と言うかそれ、こないだ俺が自腹で買ったカメラなんだぞ!写真部に所属している俺としては、やっぱいい自前のカメラがほしくて小遣いちょこちょこ貯めて!やっとこないだ買えたモノなのにっ


「ホントまじ。きょーやそれ返してくださいっ」
「いやだね」
「きょーや!」


もう一回奇襲をかけてみる。・・・・簡単に避けられたけどね。
ぐわし!そりゃさ俺が悪いけど、ホントカメラ返してくださいきょーや。その中には大切な写真とかいっぱい入ってるんだもんよ。
というか、ほら、きょーやがカメラ持ってても、写真をとるわけじゃないんでしょ。ぷりーずみー。


「どうしたら、返してくれるわけ」
「僕が返すと思ってる?と言うか、こんなことになったのはのせいだってわかってるの?僕にはこのカメラ関係ないから、ここで壊してもいいんだけど」
「ちょ!それは待て!」


その振り上げた手下ろさないでねきょーや!僕たち幼馴染でしょ!

人の写真勝手にとるやつなんて僕の知り合いにいないんだけど。

ぎゃー!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。もう撮らないから!


謝り倒してやっときょーやが振り上げた腕を下に下ろす。ほっと一息。
あーね。もうこうなったからぶっちゃけるけどね。何で鬼ごっこをしてたかと言うときょーやの殺人現場(もとい咬み殺し現場)に居合わせたんじゃなくって(居合わせたら居合わせたでストレス発散にこっちも咬み殺されるけど)、ふらーりと俺が放課後屋上に向かったらそこにきょーやがいたわけですよ。
ンで、すうすうと寝息を立ててたもんだから、あのカメラでカシャと。
そして、音で起きたきょーやが悪魔のごとく俺を追ってくると(マ ジ 死 ぬ か と 思 た !)
アレで俺の寿命は十年ぐらい縮まったね!


「まぁ返してあげてもいいけど、これに返すと碌なことがないんだよね」
「え・・・、そんなことないっすよ!」
「なに最初の沈黙」
「な、何にもやましいことしないって!例えば部長に持っていくとか。って、あ・・・!」


きょーやのにらみがきつくなる。
やばい、カメラまじで壊される。


「最近風紀検査して女子からこれ押収したんだよね」
「あっ、それッ俺が撮ったや――」


バチリと手で口を押さえてももう遅い。
きょーやが学ランから取り出したのは、数枚の写真。
それには、ばっちりきょーやの姿が映っていて・・・・。
きょーや、眉間の皺伸ばさないと一生ついたままになっちゃうよ。





うわぁ、咎められるより、名前を呼ばれるだけの方がきつい。
と言うかきょーやが怖い。えぁあああ、泣きたくなってきたー。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。ちょっと出来心と言うかなんと言うか、俺毎月小遣い少ないし、マイカメラほしかったし。友達とあそびたかったし。新作お菓子食べたかったし。あはは、な感じでやちゃって。うわー!きょーや睨まないでごめんなさいごめんなさいごめんなさい。って!ギャーー!!謝ってるじゃんカメラまた上に振り上げないでーー!!!」


いやーーーー!!!


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。もう、きょーやの写真売ったりしないからーーー!!」


今まで出したことのない大きな声で謝る。
ああぁああぁ、ホントできごころだったんです。もうしませーん!!
だ、だからカメラっ


「・・・・・・」
「・・・・・・」


沈黙がいたい。





「・・・・・はぁ・・・、まぁ、もうしないって言うんならいいけどね」
「きょーやっ」
「言っとくけど、またしたら咬み殺す」


深いため息を吐いた後睨みつけてくるきょーやに勢いよく縦に首をふる。
ありがと、きょーや!

上に上げていたカメラをきょーやがこっちにポイっと投げる。
って、うわわ!カメラ投げないで!
き、傷入ってない!?ほんと高かったのコレっ。・・・・よ、よかったー。入ってない。


「きょーやカメラ投げるなよ!」
「僕の知ったことじゃないから。それとネガは後で回収するから」
「え゛!」
「あたりまえでしょ」


そんな殺生なー!ひどいきょーや!
カメラは壊されなくてよかったけどネガにも大切なやついっぱい入ってるんですよ!
と、言うかきょーや寝顔写真ちょーレアなのに!


「咬み殺されたい?」
「滅相もございません、きょーやサマ」


千切れんばかり首を振る。




でもさ、




「きょーや一枚ぐらい現像してもいいでしょ」


きょーや、きれいだったし。


ぼそりとそう言うと、きょーやは黙ってしまわれた。
え・・・?なに?


「・・・・勝手にすれば」


え、あ、は。
今の聞き間違いじゃないよね。
すたすたと先を歩いて帰っていってしまうきょーやのあとに急いで続く。


と言うか、さっききょーやの表情が一瞬優しくなったのは気のせい?










Peperoncino!
「部長ー!きょーやの寝顔写真ゲットしてきましたー!」
「ッ!やったわよ、くん!これで今月も大儲かりだわ!」
「じゃ、さっそく現像いってき――「
「(ぎゃーー!!)きょーや!?」





たぶん一番売れてるのはやっぱりヒバリさんで、二番目が山本。三番目は獄寺だと思います。ツナは最近人気急上昇中。あのダメっぷりが小動物みたいでかわいいね!みたいな。
と言うことで、Happy Birthday dear HARUKA and your site!
おめでとうございますっ。ほんと一年って長いようで短いですよねっ。
最近ヒバリさん愛を語ってらっしゃるので今回はヒバリさんで決め。幼馴染で写真部な男の子です。
写真部といえば=写真を売るで形成されている僕の脳内。
たぶん、主人公の写真も人気だと思いますがヒバリさんが売りにだされる前に没収してると思います。(買うんじゃなくて没収さ!)そして大事にしてくれてると思います。(え
誕生日おめでとう!サイト一周年おめでとう!
そしてこんなものを受け取ってもらってありがとうございましたっ。



06.11.03 Dear swallow tail from CROSS HEARTS