「なーなー、骸」 「何ですか?」 薄暗い部屋の中、思い出したようにが声を掛けるのはソファに腰掛けている六道骸。 二人以外誰もいない室内で、距離が少し離れているにも関わらず、二人の声は良く通る。 しとしとと。先ほどまでが見ていた空からは雨が降り続く。 「なぁ、骸。何で骸はおれのこと拾ったんだ?」 光がない暗い室内だからなのか青白くみえる肌の色をしたは抑揚のない声で自分の主人に問いかける。 そんなの唐突な問いかけに骸は少し目を見開いた。 「・・・・、そうですね。しいて言えば“おもしろそう”だったからですかね」 ゆっくりと答えた骸の解答に満足したのか、ふーんと声を上げるとは窓の方に向き直る。 「おや、納得ですか?」 「はー?なんで?」 「普通の人は“おもしろそう”などと言われたら怒りそうなものです」 一般的な反応を言われただがなんだかそれはピンとこない。 「おれ、ふつうじゃねぇもん。て言うかひとでもねぇし」 それもそうだ。舌足らずな解答を聞いた骸はクフフと笑みを零す。―― まったく、本当には面白い。 「そうでしたね。では、はここから逃げたいとは思わないんですか?」 「骸はおれの指輪をもってるのに言うか?」 が問いかけた骸の手には一つの銀色のリング。暗闇のなかでそれは怪し光を放つ。 「そうでした。じゃぁ、僕がの指輪を持っていなかったら?」 ゆっくりとソファから腰を上げながら骸は問う。 「んー。どうだろ、前の主人は死んだし」 「えぇ、僕が殺しました」 の方へ骸は一歩。 「あ、そういえば何であいつ殺したんだ?」 「あなたを手に入れたかったからですよ」 かつんかつんと。響くのはこの部屋の主の足音。 自分で聞いておきながら興味がないかのようには骸に頷きを返す。 骸がいるのはの一歩手前。 「ふーん。まぁ、やることなんてないし、骸たちといっしょにいた方が楽しそうだし。ここにいるんじゃね?」 の答えに満足したのか骸の笑みが一層深まった。 「それは、よかった。では、は僕がいなくなったらどうします?」 「それは骸が生きてるのぜんていで?それとも死んで?」 「どっちもです」 くふふと骸は笑い、の視線にあわせてしゃがみこむ。 の二つの瞳に映っているのは赤と青の瞳を持つ自分。 の頬に手を当てるとひんやりとした感覚が骸を襲う。 「生きてていなくなったら、どうもしない。だっておれ一人のときのすごし方なんてしらないし」 「では、死んだときは?」 ゆっくりと骸が問う。 「んー。そんときはおれが――」 ―― 、骸を甦らせてやるよ。 笑いが零れる。 生気のないの肌の色。 とくとくと。の心臓に手を当てても、自分と同じ音はしないのだろう。 「前の主人はクソみたいな奴だったけど、骸はけっこうすきだしな」 「ありがとうございます。そのときはよろしくお願いしますね」 骸は笑みを深めてに言った。 |
07.04.29
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