ドンっと身体に走るのは軽い衝撃。その所為で身体が少しだけふらつく。
「大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。オレがコレくらいでヤられると思うか?」
「思わないね。と言うかさっきの男ってなんだったの?」
「さぁ?わかんねぇ――― ゲッ!?」
「?」
「ヤベェ……マイザーに殺される……」
「えっ?はっ?ー!!!」
チェスが後ろでオレを呼んでる声がするけど、今はそれどころじゃねぇ。
あっんの男っ!!! 一体どこ行きやがったっ!?
早く見付ねぇと、オレがマイザーに殺されるんだよっ!!!
if〜 それはある日の物語
ガウン!と銃声が一発。
それは、俺の耳元で……。
「リ、リボーン!?」
どうして俺はいつから日常を平和に過ごすことが出来なくなったんだろう。
今日も今日とて、お母さんから買い物を頼まれたから外に出ただけなのに……。
これも、俺の隣で今、硝煙の上がっている銃をを持つこの赤ん坊の所為なんだろうな。
「てめぇ。今すぐ手の中のもの返さねぇと、もう一度俺の銃が火を噴くぜ」
あぁ!俺は無視かよ!!!
ふと、リボーンの銃の先を見つめると、そこには銃痕と座り込んでる男の人。
どう見てもその人は、普通の人に見えるのに……一体何なんだ?
俺の疑問が解決することなく、リボーンは話を進めていく。
だけど、動かない男。そりゃそうだろうな…行き成り、銃を発砲されたら恐怖で何も言えなくなっちゃうよ。
「頭、風通しよくしてやろうか?」
うわっ!?ココ、日本!殺人は死刑だって!!!
言ってもリボーンには関係ないことかもしれないけど、俺この齢で警察に行きたくないんですけど!!!
と、言うかいつも、まがいなことしてるからアレかもしれないけどさ!
「ちょ!リボーン!?やめ―――」
「はいはい。ゴメンね。ゴメンー」
……えっ?
突然割り込んできたのは、軽い声。
ちょ!お兄さん、リボーンが持ってるもの見えないの!?
銃だよ銃!おもちゃじゃなくて本物!!!
その声の主は僕より背が高い青年。
その人はリボーンの持ってる銃にも何の反応もせずに、銃口の先に手を当てて、リボーンと男の人を離す。
な、なんて命知らずな!
やっぱり、と言うかその青年に向けられるのは、リボーンの不機嫌な声。
「てめ―――」
「だからゴメンってば。坊やは黙ってて」
ヒィッッ!!!
イヤ、お兄さんの方が一生口が聞けなくなっちゃうよ!!!
「殺され―――」
「ちょ!、速いってばっ!行き成り走りだして何!?」
今度、リボーンの声を遮るように現れたのは10歳ぐらいの少年。
少年に「わりぃ。わりぃ」と謝っているお兄さんと兄弟か何かなのかな?
って、そうじゃなくって、注目すべきはリボーンなんですけど!
いつも以上のポーカーフェイスが怖い!
「ブッ殺―――」
「チェス。てか、オレちゃんと日本語喋れてるよな?」
「大丈夫じゃない?ヤグルマさんやマイザーから教えてもらったんでしょ?」
リボーンを無視して成立される会話
「だよなぁー。通じてると思うんだけどなぁー」
「で、、一体どうしたわけ?」
「イヤね。この男が……」
銃の引き金に手が掛かる
あっ……。
もうダメだ!
「殺―――」
「黙れって言ってんだろ、この餓鬼」
えっ……?
バン!と聞こえる銃声
したしたと流れ落ちる血
――― 音の発信源は真っ赤に染まった青年の手の中にあった
「Fall silent, baby. オレはこの男に用があるんだ」
お兄さんの口からでてきたのは、流暢な外国語。
いつも傍で多少聞いているイタリア語じゃなくって、それは俺にも理解できる英語だった。
『Fall silent, baby.』……黙れ、赤ん坊。
奪い取ったリボーンの銃を青年は下に投げ捨てる。
「で、返してもらいましょうか?」
何事もなかったように、男に話しかける青年。
傍にいる少年も、青年の手が撃たれたことは気にしてないようだった。
い、ったい、なにが、おこって、るんだ?
「うわぁぁあぁあぁぁ!」
発狂した男。
それも、そうだろうな。目の前で銃が撃たれて、それに動じない人がいて。
普通なら、衝撃に眉を顰めてもいいのに…。あんなに手から血が流れているのに…。
「ちょ!」
でも、自我を失った人は何をするか分からない。
そう思った瞬間、その男の人は落ちていた銃を拾って狙いを青年に絞った。
「やめ―――」
今度は俺の声を、銃声が遮る。
倒れる身体。アカいイロ。
「死んだな」
「リ、リボーン!?」
「眉間に一発。当たれば即死だ」
目の前で人が死んだなんて
信じたくないが、目に入る色はアカ
コレには少年も驚いたのか、赤い池の上に倒れている青年を見る
「ど、どうしよう」
「どうしようも、こうしようも、ねぇだろうが。アイツは死んだ、間抜けな男の銃の扱いによってな」
ハンとリボーンが笑う
「で、でも。あの人」
「俺の邪魔をしたんだ。どうせ俺が殺すつもりでいたしな」
「リ、リボーン!」
「死体は跳ね馬の奴らに片付けさせればいいだろう」
「そう言う問題じゃないって!あのお兄さんの連れの少年とか」
「あぁ、口封じだろ。アイツもあの男も俺が殺せばこのことを知ってるのは、俺とオマエ。オマエが黙っとけば丸く収まる」
「だから!リボ――――」
そういう問題じゃないんだって!とまた続けようとしたのに、次に聞こえてきた声で俺は固まってしまう。
「いってー」
「、大丈夫?」
「大丈夫も何も一回死んだ」
「イヤ、それはさっきの見てたら分かるから」
……えっ?
笑う青年とその青年を見てため息をつく少年。
なっ!
笑っているのは確かに、赤い海に沈んでいた青年で……
ちらりと見れば、あの目に焼きついたアカも
青年の額にあるはずの銃痕も
先ほどリーボンに撃たれたはずに手の血も
―――― すべてが嘘のように消えている
「よかっかったねぇ。銃ぶっ放したのがオレで。オレじゃなかったら、死んでたよー。ココでは殺人は死刑だっけ?」
青年は男に話かける。
えっ?なんで……?確かに、お兄さんは銃で撃たれて……。
これにはリボーンも驚いたようで、言葉をなくしている。
「さぁ、返してもらいましょうか?」
「ヒィッ!」
「今、返してもらえれば、何事もなく見逃すけど?」
それを聞いた男は何かを青年に投げ出して、一目散に走っていってしまった。
「よし!これでマイザーに怒られなくてすむ!」
「……もしかして、あの人追いかけてた理由ってそれ?」
「おうよ!」
青年の手の中を見て、少年がため息をつく。
俺のところからは見えないけど……。
「だって、これがなかったら何にもできねぇじゃん」
「そうだけどさー」
「それに、ココって“ニホンシュ”って言うこの国独自の酒があるんだろ?」
「そうかどうかは、僕にはわかんないけどね」
「折角、日本に来たんだからその“ニホンシュ”も飲んでみなくちゃ!それに、フィーロ達の土産に丁度いいじゃん」
「とか、いいながらアッチに着く前に全部、の胃袋に入ってそうだと思うのは僕だけ?」
「あはは〜。たぶん大丈夫だって!それに禁酒法時代じゃないから、どんだけ飲んでも大丈夫!」
少年が「そういうことじゃないと思うんだけど…」と言っているのが遠くに聞こえる。
禁酒法時代って、禁酒法だよね!アメリカの……。
それって、今から100年ぐらい前!?
「それにしても、残念だったなぁ、チェス。オマエのその身体じゃココの国じゃ酒の一本も買えねぇぜ」
「それは、僕に言ってるのかなぁ?。齢的には僕の方が何百歳も上なんだけど?僕の方が年上だってことわかってる?」
「ごめんなさい。チェスワフお兄様」
「よろしい」
黒い笑みを発していた少年が穏やかに笑う。
えっ?……何百歳?お兄さんより少年の方が実は年上?お、お兄様?
一体どういうことになっているのか、分からない。
「てめぇら。一体何処のもんだ?」
「リ、リボーン!?」
目の前で起きたことが理解できなくて頭を悩ませていると、青年の頭に再度銃を当てているリボーン。
ちょ!何してるんだよ!!
「あぁ、赤ん坊。名乗るなら自分からって習わなかったか?」
お兄さんも、何を冷静に!
イヤ、銃で撃たれたと思ったのに今も生きているんだから何とも言えないんだけどさ!
チッとリボーンの方から舌打ちが聞こえてくる。
「ボンゴレファミリーのリボーンだ。アイツはボンゴレ10代目のボス。お前らボンゴレに入らねぇか?」
ヒィッッ!!!俺のことは紹介しなくってもいいんだよ!
リボーンは銃を見ても臆しないお兄さん達が気に入ったらしい。
ちらりと青年と少年がこっちを見る。
もう厄介ごとに巻き込まれるのはゴメンなんだから!
「僕はトーマス」
そう答えたのは少年。
えっ?でもさっきは、お兄さんに“チェス”って……。
「ありゃ?不死者じゃねぇみたい……てか、残念。オレは。マルティージョ・ファミリー」
「マルティージョ?聞いたことねぇぞ」
「あぁ。ボンゴレってイタリアの大御所だろ?俺らはアメリカ。ニューヨーク。とは言っても少人数だし。今は大きなことしてないし。あんまり知れ渡ってないと思うけどね」
あぁ、それで…。イタリア語じゃなくって、英語がでてきたわけがわかった。
でも……マ、マルティージョ・ファミリーって一応お兄さんもマフィアみたい。
それよりも…お兄さんの口からでてきた『不死者』って……?
目の前の青年と少年について謎は膨らむばかり。
だけど、今の気持ちは家に帰りたい!!!
厄介ごとに巻き込まれたくない!!!
「。早くしないと、約束の時間に遅れるよ?」
「えっ?ゲッ!?まだ、“ニホンシュ”買ってねぇのにっ!!!」
青年が焦りだす。
リボーンが頭に銃を当てていることなんて関係ないみたい。
「じゃ、オレら急いでるから!」
そう言ってポンと俺の方に投げられたのは、黒いモノ。
えっ……?
「うわっ!約束破ったら、マイザー怖いんだよな!!!」
「が財布スられるからでしょ。バカじゃない?」
「あぁ!もう言うなよ!!」
そんな、さんとト、トーマス君(?)の声が遠くに聞こえる。
手元には財布。それはどうみても自分のもので……。
「スリ!?」
「そうだ」
リボーンが普通に肯定する。
「そうだ。って!スリぐらいで銃をブッ放つかフツー!?」
「買い物していかないと。ママンが困るだろ」
もう、何も言うことがない。
それよりも、さっきの青年と少年は何者だったんだろう?
死んだと思ったのに、生きていることや。
トーマス君のほうがさんより年上だってこと。
そして、『不死者』や『マルティージョ・ファミリー』。
謎なことが多いけど、もういろいろと突っ込まないことにしておく。
これ以上突っ込むとまたややこしいことになりそうだから。
うん。隣で、やけに嬉しそうに笑っているリボーンも気にしないでおくよ!!!
「で?どうしたんですか?」
オレの目の前にはなんか後ろに黒いオーラが見えるマイザー。
「イヤ、だから…マイザー…財布スられて……それで……」
「そこまでは、いいけど、お土産選ぶのにスッゴイ時間掛かってたよね。店にあるお酒全部味見してたし」
「チェ、チェス!?おい!」
それを言うな!!!
「……?」
「な、なんでもないです!」
「じゃぁ、約束の時間に遅れた罰として、僕らの荷物全部持ってもらいましょうか?」
「ゲッ!?」
「?」
マイザーの笑顔が怖い!
「喜んで持たせていただきます!!!」
「ご愁傷様。兄ちゃん」
「ホント。ご愁傷様」
「ちょ!チェス!こう言う時だけ弟面するなよ!シルヴィもちょっとは手伝え!」
「あら?か弱い女の私にそんな重たいもの持たせるの?」
「あー!もー!!!ちくしょー!!!」
マフィアと言ったら!バッカーノ!(マルティージョはマフィアじゃなくてカモッラですがね)
成田さん馬鹿でもある僕には書いてみたかった代物
REBORN!+BACCANO!の混合夢です。
どっちも知ってないと、わけのわからない夢ですが、わからなかったら本屋に行ってください!(オイ!
成田良吾先生の『バッカーノ!』シリーズおすすめです。
なんで、主人公が生き返ったとか、チェスとかマイザーとかシルヴィとか『不死者』とか……読めば、一気に解決!
ついでにバッカーノ!の時間軸でマイザーたちが日本に東郷田九郎を探しに来たときのお話です!
言わずもがな、主も不死者でマルティージョですよん