「ただいま」
蝋燭の明かりしかない暗闇の中にいくつかの影がゆらゆら揺れる
「」
「ただいま。イタチ」
自分の名前を呼んだ紅い瞳の男を人影の中から見つけるとは肩に抱きついた
そんなをちらりと見てイタチは尋ねる
「どこに行ってたんだ」
「九尾君のとこ」
「お前はそういうことに興味がなさそうだと思っていたが…」
「イタチたちは人柱力に興味があるんでしょ。俺も人柱力が死んじゃう前に会っとこうかと思って」
イタチたちが殺した後じゃお話しできないもんねぇ。とのほほんと言いながらはイタチから降りる
そんな表情のから漂ってくるのは、つんと鼻につくもう慣れてしまった鉄の匂い
を見るとその服や体には、もう黒くなりかけている血がこびりついていた
「その血はどうした」
「あぁ、これ?ココらに探りに来た忍がいたから殺っちゃった」
の纏っている雰囲気はココにはやはり似つかわしくないもの
声色だけ聞くと次に「ちょっとそこまでお魚買ってくるね」とか言いそうな感じだ
「・…」
は自分の姿を眉を顰めて見ていたイタチに気がつくと右手を軽く振りながら答える
「昔、天才忍者の片腕って言われた俺だよ。左手だけでも戦えるし。」
そう言い終わるか終わらないかの一瞬のうちに壁にある蝋燭の灯りが一つ消える
蝋燭の掛っていた壁を見ると そこには芯を正確にとらえて突き刺さっているクナイ
「……そうだったな」
「そうだよ。何のために俺が忍をやめて、ココに来たと思ってるのさ。
イタチの足手まといにならないぐらいは力はあるよ」
本人はまたもや和やかな雰囲気をかもしながら言うけれど、片腕を失ったとしてもその力は強大
今も森に行けばが殺した屍がゴロゴロと転がっているのだろう
「まぁ、右手がこんなんだから印は組めないんだよね。そこが難点かも。だから、死体もそのまま」
森に住む野獣が食べてくれると思うけどとヘラリとが続ける
「あまり無理はするなよ」
「わかってる、イタチに心配かけることはしませんって」
の頭にやさしく置かれるイタチの手
そのことにの頬が緩む
「で、何人かいないけど、他のメンバーはどうしたの?」
「風の国に行く準備をしている」
「あぁ、一尾君?イタチたちが興味があるって言ってたから
あの子にも死んじゃう前に会っておきたかったんだけど…
う〜ん。担当ってデイダラたちだよね。着いて行こうかな?」
が勝手気ままな性格なのはいつものこと
しかし、イタチの眉間にも皺がよる
「」
「心配しないでよ。ちょっと見てくるだけ」
「……勝手に行くよりかはいいか」
「俺もイタチがいなくて退屈だったんだよ。今度からはちゃんと言ってから行くし」
「今回はこっちが悪かったが、勝手に外に出るなよ」
イタチから出たのはを心配する言葉
が忍をやめて此処にいるのはイタチを追いかけてきたから
もう一度やさしく撫でられた頭には幸せそうに笑った
「あたりまえ。俺は、イタチのそばにいるって決めたんだから」
もうすぐ月の輝く夜が明ける ―――・・……