「……どうしよう」 はぁ。と言うため息とともに出てくるのはそんな言葉で。額から流れ落ちてくる汗を練習着で拭う。あーあ、その所為で今日はシュートも一本も入らなかったし。こんなのオレらしく――― 「秀一あぶねぇー!」 「え……?―― ぃてぇ!」 瞬間、頭に衝撃。頭を抑えてしゃがみ込む。 「秀一、大丈夫かー」 「っー、いてぇ!誰だよ!……て、センパイ!?」 視界に入ってきたのは、白と黒のサッカーボールと部活のセンパイの顔。 心配そうにオレのことを覗き込んでくるセンパイに「あ、はい…大丈夫です」と言葉を返してゆっくりと立ち上がる。 「て、ぜんぜん大丈夫じゃねぇだろ。いつものおまえならこれくらい避けるし。なんか最近おかしいぞ。どーした」 「いや、何でもないっすよ」 そう答えたオレにセンパイは疑いの目を向けた後、にやりと笑った。(なに?!) 「ははーん。あー、わかった“恋”だろ“恋”!」 「なっ。センパイ!」 「うわはー!恋か恋!何もう相手とはヤったのか!?」 「セ、センパイ!どうしてそんなところに話が飛ぶんっすか!て言うか、暑いです!腕回すのやめてください!」 首に回ったセンパイの腕を外そうと躍起になっているオレは、心なしかいつもよりキラキラしている気がする顔でセンパイに、相手は?と尋られて、うっ、と言葉を詰まらせる。 頭に思い浮かんでくるのは、今日も一日中考えていた時期外れの転校生のこと。 (イヤイヤイヤイヤ、オレはホモじゃねぇ!瑞稀とは友達だし!そうだよな、うんそうに決まってる!オレは瑞稀と、こ、ここ恋人関係になりたいわけではなく、より仲を深めた親友に!そ、そう、そうだ!いや、でも…) 「………センパイ…」 「ん?なに?」 「……男が男、す、すきになるのって、どう、おもいますか……?」 「ん?別にそれはそれでいーんじゃないかと、て言うか何?秀一が好きなのって男なわけ?」 「ッ!?」 「ほー。じゃぁ、俺が男同士のヤり方教えてあげよーか?」 知ってて損はねぇぜ、とニヤリと言われた言葉に、オネガイシマス!と思わずうなずきそうになった。(あぶねぇオレ!!) |
「ん?どーした秀一?なんなら俺が秀一に手取り足取り腰とりナニとり教えてやってもいいんだけど?」 「セ、セセセンパィイ!!いいです、いいです、教えてくれなくていいですから!」 「そーかー、ざんねん。つーか、男かー。何、そしたら―――」 中央? (うげら!ありえねぇ!) いや、萱島か? (誰があんな幽霊やろうなんか!) 佐野って線は……、ないか (ないないないない) 「――― あー、じゃぁ、ミズキちゃんとか。あいつ、かわいいもんなー」 「(ビクゥッ!)」 「(お!何、ビンゴ?)」 |