かかとをならして、1.2.3.
それは夢の世界の扉を叩く音


銀の靴(わーるど・とらべらー)  in 並盛



ヤバイヤバイヤバイ。なにこの銃。てか、なにこの世界っ!銃口の先は俺の額。頭撃たれたら即アウトになるってわかってるのかこの赤ん坊っ!(いや、わかってらっしゃるから突きつけてるんだと思うけどさぁっ!)摩訶不思議な赤ん坊は俺に銃を突きつけたままもう一度、お前何処のもんだ?と尋ねてくる。俺ピーンチ!答えないとヤバイ雰囲気っ。でもさ、でもさココで「異世界のもんです」なんて答えたらそれこそお陀仏だろ。つーか誰か、助けろっ。

「リ、リボーン!!」

えっ!?“りぼーん”って何!?俺の願いが通じたのか、聞こえてくる声に赤ん坊がピクリと反応する。ちらりと声がしてきたほうに目線を走らせると、誰かがこっちに向かってくるのがわかった。

「ちょ!何してるのさ!?」

廊下の向こう側から走ってきたのは、すっげぇ平凡そうな少年。『リボーン』ってこの赤ん坊の名前ですか!?知り合い!?知り合いなら、この状況をどうにかしておくれ!冷や汗背中にたらたらな俺とは逆に、目の前の赤ん坊は、「ちゃお」とか言いながら少年に挨拶する。お、おい!!

「ちゃお、ツナ」
「『ちゃお』じゃないって!!なに普通の人に銃向けてるんだよっ!」
「ちょっと気になったからな」
「ちょっと、じゃないってば!!」

焦りながら少年は赤ん坊の銃口を別方向に向ける。(そのときに赤ん坊のほうから「チッ」と舌打ちのような音が聞こえたことは気にしないことにした)(今時の赤ん坊は怖ぇな!)あぁ、ありがとう少年!さっきはすっげぇ平凡そうなヤツだなんて思ってごめんな!キミはいいヤツだ!自分に危険がなくなったことにホッとしていると、少年が「大丈夫ですか?」とこちらを振り向いてきた。でも、次の瞬間少年の目が驚愕で見開かれる。え・・・?俺なんかした?

「っ!?(この人朝、雲雀さんと一緒にいたっ!ヤバイよ!ヤバイ!リボーン、厄介ごとに俺を巻き込まないでよ!!)」
「(えっ?何、この怯えよう。俺何もしてねぇってば!)」

少年の目がうろうろと移ろう。え、あ?なんでっ!?本格的にわけがわからない。そんな中、ざわざわと周りが段々と騒がしくなってくる。あ、さっき意識の端で鐘の鳴るような音がしたけどアレ授業終了の鐘だったんだな・・・。てか、未だにあわあわとしている目の前の少年。いや、この状況俺どうすればいいわけ?そんなことを思っていると、またどっかから声がかかる。(なんなんだこの状況っ)

「よぉ!ツナ、何してんだ?」
「山本!!(助かった!コレでココから離れられる!)」
「ん?横にいるのは、リボーンと・・・あぁ!朝、風紀委員長と一緒にいたヤツ!」
「(山本ッ!!それ言っちゃダメだって!)」

・・・・。そう言えば、「転校生?」やら「留学生?」って言葉に混じって、「アイツ、風紀委員長と一緒にいるなんて!」なんて声が聞こえてきていたような気もしなくはない。片手を挙げながら、颯爽と登場してきたのは、なんとも笑顔が素敵な爽やか少年。

「おまえ、あの風紀委員長と一緒にいれるなんてすごいな」
「・・・・ふーき・・いいん、ちょう?」
「あぁ、雲雀恭弥だ。雲雀恭弥。そうだ、俺、山本武つーんだ。よろしくな」
「(山本っ!?何で普通に自己紹介してるの!?)」
「あー、です」
「(て言うか、この人も何普通に返してるの!?)」

なんか、少年がこっちを見て驚いたような顔をしてるのがすっごく気になるんだけど。(ホントこの少年大丈夫か?)風紀委員長ってヒバリのことだったんだな。・・・・ッ!やっぱり注目されてるのはヒバリの所為だったじゃねぇか!!そりゃそうだよな、あんな暴力振り回してるヤツのとなりにいたんだから興味本位で見られるのは必須な訳で!と言うか、ヒバリの横にいたことで俺この少年にあらぬ誤解をされてるとか・・・。俺も暴力的だとかね。うん・・・。そんな感じがするよ、この少年の怯えようを見ると・・・・ん?そう言えばオレなんか大事なことわすれてるような。
あぁ!!

「ヒバリ!!(ヤバイ、今度はマジで殺されるよ!!)」
「どうかしたか?」
「(どうかしたか、じゃなくってっ!!)応接室って何処っ!?」

やばいやばいやばいって。今思い出しました。はい、今まですっかり忘れてました。(忘れてたじゃすまされねぇけど)俺様何様ヒバリ様から、応接室に行けって仰せつかってるんでしたッ。さっき鐘鳴ったよね。ってことは俺何時間ココで迷ってる?わわわっ、青筋というか素敵な笑顔をこちらに向けてくるヒバリを想像できてしまうのが悲しいよ。めちゃくちゃ焦りまくる俺に親切にやまもとはあっちだと教えてくれた。メルシー!謝々!グラーツィエ!アモーレ!半ば叫びながら礼を述べて走り去る俺にやまもとはどういたしまして。と律儀に返してくれた。(なんていいヤツ!)振り返るのはちょっと怖いから(だって赤ん坊がっ)(微かに聞こえてきた舌打ちは聞こえなかったことにしよう)、振り返らずにひた走る。お、なんか見たことある風景っ!ココを曲がれば―――

「―― ッ!」

腹に走った衝撃によろめく。そんな俺を見下して、ヒバリは廊下は走るな。とのたまってくださいました。あー、くそぅ。まじイテェ。朝食が出てきたらどうしてくれる!「そのときは、自分でキレイにしてね」あーすみません!頑張って出る前に飲み込みます。

「何してたの」
「何してたのと聞かれても、道に迷ってたとしか答えようがねぇんだけど・・・」
「・・・・・(バカ?)」

いや、ちょ、ヒバリそんな目で見るなよ。ゲホゴホと息を正しながら立ち上がる。うわー、朝から俺何回殴られた?・・・・。・・・・い、いいもんね。フェ、フェオで慣れてるから。グスン。というかなんと言うか、フェオといいヒバリといい俺は神に見放されてるのか?なんか人から弄られるというかなんと言うか・・・。・・・・、いたい役どころだな俺!(ひらきなおった)(だ、だからうるさいよっ)















かみさまおれをみすてないでください(とりさんとあかんぼうがこわいです)
07.08.14