かかとをならして、1.2.3.
それは夢の世界の扉を叩く音


銀の靴(わーるど・とらべらー)  in 並盛



あー。えっと、ココはどこですか?つーか、一言言っていい?・・・・・。
ま た か よ!!!
周りを見渡すと、人っ子一人いない道に、あー何つーんだっけ?瓦?の屋根の家。(たぶん瓦だよな?仕事で運んだことあるもんなぁ)俺の住んでいたヨークシンシティには見なかった家がずらりと並んでいる。それに、ヨークシンは昼間でも結構にぎわってるから、人が一人もいないって事はない。・・・・・それから考えるとココはヨークシンじゃないってことだよな。あー。泣きそう。ヨークシンじゃないってことは、アレだよな。うんアレだ。またやったんだな俺・・・。軽い現実逃避をしながら歩き始める。と、とりあえず!じっとしてても何も始まらないから動く!

「な、なみ・・・も、り?」

だぁー!!あからさまに、ココ、ヨークシンじゃねぇよ!!歩いていたら見つけたココの町名だと思しき名前。正確には、下に中学校。ってついていて、後ろには、どかんと白い建物が建っている。うぅ。ぜってーヨークシンじゃねぇ。と言うかヨルビアン大陸でもねぇ。うずくまって頭を抱えたくなる。だって、その「なみもり」って書いてあるのが、カンジっていう字なんだもん!(俺たちの世界万国共通文字はハンター文字だ!!あからさまに違う!)(これ読むのにも時間がかかったんだよ!)あー。ちくしょう。ハンターの世界にもたしか、カンジを使うジャポンって言う国が東の果てにあったから、なんとなく知識として入ってるけど、今のジャポンでもカンジは古語だ。そして、ジャポンに「なみもり」って地名は無かったはず!仕事の都合上世界地図もとい、世界中の地名ぐらい頭に入ってる。(無理やり覚えさせられたんだけどな・・・。覚えられなかったら給料なしとか・・・)ほろりとそう遠くない昔を思い出して涙を流す。て、話反れた!で、状況を整理すると、ココは「なみもり」で、ヨークシンでもジャポンでもましてやハンターの世界でもないと。
・・・・。

「こ、殺される!(やばい、やばいやばいやばい)」

マジで命がねぇ!誰から殺されるかって!?そりゃもう、フェオに決まってるじゃないですか!(ぎゃー!!)―― フェオつーのはフェオ宅配便の社長だ。で、俺はその宅配会社の宅配員。会社は小さくて計3人の奴が働いている。社長のフェオと会計とか窓口のウル。そして、会社唯一の足、俺。(フェオは“犬”って呼ぶけど)(・・・・今考えるとそれってなにげにきついよね)なんで、俺が唯一の足なのかと言うと、外回り、もとい宅配を任されているのが俺だけだからだ。ウルはさっき言ったように会社の会計やら、客の相手をしてるし、会社に自分の名前をつけるほど俺様のフェオだ。自分で動くはずが無い。会社でいつも社長の椅子に座ってるだけ。そのくせ俺に文句ばっかりつけるから、むかつく。で、俺がそんな小さな宅配会社で仕事をしてるかと言うと、いくつかある理由うち一つに俺の念能力がある。俺の念能力は空間移動系の能力で、行きたい場所を念じて靴のかかとを三回鳴らせば、その場所に行けると言うもの。これまたいろいろと制約がかかっているのだが、この能力だけ見ると便利なほうに分類される。(だって、飛行艇代かかんねぇんだもん!)その念能力を使って、仕事をしてるってわけだ。だけど俺は完全に念をコントロールできてないようで、今日みたいなことが時たま起こる。ようする念が暴走して念じたり、かかとを鳴らしてないのに、違う場所に行くってこと。そして、それがハンターの世界の中の違う場所っていうわけではなくて、世界自体違う場所に飛ばされるから尚悪い。

「はぁ・・・・」

口からため息がでてくる。あー。マジどうしよう。前にもこんなことが何回かあったけど、そんときも大変だった。つか、過去の出来事から考えるに・・・・野宿決定ですか!?つか、メシとかどうしよう!?問題は山済み。世界を超える念を使った場合、ある程度の時間が経たないと念が使えなくなる。それが、一時間だったり、一日だったり、一週間だったり・・・。とにかく、念が使えるようになるまで元の世界にもどれないわけだ。それに、帰ったら帰ったで、満面の笑みのフェオが「仕事してねぇんだから、給料なしな」って言ってくるし、隣でウルも似たような笑みを浮かべるだけで助けてくれねぇし!(イヤ、ウルの場合なにか黒いものがまじってそうだけど)うぅ。

「・・・・っ―― うっ」
「咬み殺すよ?」
「(―― ぎゃー!!なになに!?)」

これからどうしようかと悩んでいると聞こえてきた呻き声。その声がしてきているのは、白い建物が建っている敷地内だった。ちらりと見てみると、血のついたトンファーを持った一人の男が立っている。てか、噛み殺すよって言う前に噛み殺してるじゃねぇか!!

「ひっ・・・ゴフっ」
「僕の前で群れると、どうなるかわかるよね?」

トンファーを持っている男が、周りに転がってる男を蹴る。蹴られた男が血を吐いた。前も言ったように俺の念能力は空間移動系だ。てか、その能力しか使えない。絡まれないにさっと物陰に隠れる。俺は体力はホントにねぇんだよ!!殴り合いととか無理。即死ぬ!配達中にそんなことに、巻き込まれることはあるけど、全力で即かかとを三回鳴らしてを使って逃げてきた。面倒ごとには巻き込まれたくねぇ!倒れてる男には悪いけど、早く伸されてトンファーの男がどっか行ってくれないかって願い始める。(何気にひどいよね)(いいんだ!俺さえ助かれば!)そんな俺の願い虚しく、俺の顔を掠めてコンクリートにのめりこむトンファー。終わったね。終わった。俺生きて帰れないかもしれない。

「君誰?見ない顔だよね(・・・僕のトンファー避けた?)」
「(―― ヒィ!と、ととトンファーってコンクリートにのめりこむものなのか!?)」
「ねぇ?聞いてる?」
「(――生きて帰れないってか、生きて帰ってもフェオに殺されるけど!)」
「僕の話聞かないなんて、君イイ度胸してるね。ココにいるってことは、この学校の生徒でしょ」
「(―― ぜってぇ、ウルって黒魔術が使えるよな)」
「制服は?と言うか、なにこの髪の色。髪は染めちゃいけないって校則知らない?」
「(―― うおお!まずは、これからどうするってことか!?ハンター世界のカネ・・・。使えるわけねぇよな!コンチクショウ!)」
「ねぇ?聞いてるの?」
「(―― ってことは念使えるようになるまで、やっぱり野宿っ!?そしてメシなし!?)・・・・ヒィッ!」

軽く俺の頭は何処か違うところに飛んでたらしい、現実に目を向けると俺に思いっきり睨みをきかせてるトンファー男の顔がドアップに。あっ・・・。きれい。・・・・。じゃ!なくて!やばいやばいやばい!今にも、殺されそうな感じ。つか、今さっきこの人俺のことココの生徒だっていった?!俺の記憶の中では中学校は13〜15のヤツが行くところ。ちょ!俺17なんですけど!ついでにこの金色、染めたんじゃなくて、地毛!!また風を切る音がしてトンファーが壁にのめりこむ。うわわ。コンクリートがぽろぽろ落ちていってるよ。当たったら、ぜってぇ痛い!そして今度は反対の手に持っていたトンファーが壁を破壊する。だから、当たったらイタイってーの!何回か攻撃を受けて壁は無残な姿に。(これ、学校の壁だろ!こんなことして怒られねぇのかよ!)ふと攻撃が止まって、あれ?と思って顔を上げると、何やら思慮している顔のトンファー男。

「僕の攻撃避けるなんて、君なかなかやるね」

そう言ってニヤリと笑う。ギャース!なんでそんな笑み浮かべてるんですか!?避けたって言ってもそれは当たったら痛そうだったからでホントは逃げたかったんだよ!でも、念使えねぇし、走って逃げようにもそんな暇あたえてくんなかったし!もう、終わったならいいですか?全力でココから走ってもいいですか?走り出そうとすると、ぐわしと掴まれた俺の腕。

「気に入った。応接室に来なよ」

トンファー男は不適に笑う。(何かこの人からフェオと同じオーラがでてるよ!俺様オーラがでてるよ!!)


















いせかいでとりさんにあいました
06.11.18