――― そう言えば、今日のアッチのお仕事がココらであるらしいですよ♥
「千年公はああ言ってたけど、どこにいるんだろォ」
カツコツと暗い路地を歩く音が響く。
「アァ!もう少しくわしく聞いてから来ればよかったぁ!」
でも内緒で来ちゃったからなぁ、あんまり聞いてから来ると勝手に出てきたことがバレるしィ。
心の中でそんなことを付け加えながら少女はどんどん路地の奥へと入っていく。
カツコツカツコツ。
「んっ?……のお仲間はっけぇ〜ん!」
少女の視線の先には白い服を来た大人たち。
その中に自分の探している少年がいないことが分かったのか少女はまた歩き出そうとする。
「アッチのできそこないがいるってことは、も近くにいるよねぇ」
キラリと少女の首から提げている十字架が揺れる。
「――――はや…任…おわ……か…」
「んっ?」
少女の足が止まった。
「――な…んで…俺…らが、アイツと一緒の仕事なんだよ!」
「仕方ねぇだろ、上からの命令なんだから!俺だってあんな奴と一緒にいたかねぇよ!」
「てか、アイツ俺らよりも年下の癖して、でしゃばってくるなって感じだよな」
「そうそう、エクソシストの皆様にも可愛がられてるって言うし、アイツだけ優遇されすぎなんだよ!」
「教団最年少の捜索部隊だからってっ!」
「それにこの前の任務では、アイツを残して他の捜索部隊たちは壊滅って言うし」
「怖っ!アレじゃねぇのか、アイツが最年少でも高い地位にいるのは他の奴殺して、その地位奪ってるからじゃねぇのか」
「早く任務終わんねぇかな!あの『悪魔』と一緒に仕事したくねぇよ」
「ねぇ。今なんて言った?のことそんな風に言うんだァ」
白い服の人たちの隣にいつの間にか居た少女はニヒルに笑う。
「っ!違っ……「うるさい。のこと嘲弄する奴は気に喰わな〜い。人間ごときがのこと『悪魔』って言うな。言っていいのは僕たちだけなんだよォ!」
「ひっ!」
「じゃーね。バイバイ」
そうやって広がったのは真っ赤なアカ。
紅の華。
「先輩、聞き込みしてきまし………うわー。…グロイですね……」
「キャハハ!なんでカタコトぉ?」
「ロード。なんでココにいんの」
ひょっこりと現れたは血だまりの中に立っているロードを見つめる。
ロードの足元にはかつて人だったモノが転がっていた。
「がこの近くでお仕事してるって聞いたから来てみた〜」
「来てみたって……おいおい、ロード今日学校ある日じゃなかったけ?」
「学校なんて、のためなら休むに決まってるじゃん」
指先についた血をペロリと舐めてロードは笑う。
「だからって、そんなホイホイと休んでいいもんじゃないだろ」
「だって学校なんてがいないからつまんないんだもん」
が一緒に通ってくれるなら、勉強だってがんばっちゃうんだけどねぇ〜。
そう笑って続けるロードの方には歩いていく。
途中でプチュリと嫌な音。
「俺は仕事があるから学校なんて行ってる暇がないの。それにしてもロードやりすぎじゃねぇ?原型留めてないし」
「いいんだよォ。僕のを嘲弄する奴は許さないから」
「はぁ……まぁ、俺にはコイツらのことなんて関係ないからいいんだけど。で、ロードは何しにココまで来たんだ?」
「そうだ、そうだった!遊ぼー!」
足元の赤い血だまりも、ゴロリと転がっている肉片も、飛び跳ねたときに聞こえるプチュリという音も、何もなかったようにロードはの腕に抱きつく。
「遊ぼうって…俺、仕事中」
「でも、仲間は全員いなくなっちゃたんでしょォ、なら少しぐらいサボったってバレないってぇ」
「仲間って……ロードが全員殺ったんだろ」
「キャハハ!イイことしたでしょ〜」
ほめて、ほめてとロードは言う。
「まぁ、俺が殺る手間が省けたからな。でも、これでまたアッチに帰ったら『悪魔』って言われるぞ俺」
「またのことそんな風にいう奴がいたら、僕が始末してあげる」
「俺そんなに弱くないって。まぁ、ありがと」
「ど〜いたしましてぇ」
ピチャリ、ピチャリ、跳ねるはアカ
ピチャリ、ピチャリ、跳ねるはピンク
「うわっ、見事にロードの服あかっ!」
「何も考えずにただむかついたから殺ったから〜。血のこと考え――わふっ!」
「それ着てろ」
「えっ?」
がロードに渡したのは今まで自分が着ていた白い服。
「遊びに行くんだろ。その赤い服じゃ目立つだろ」
まぁ、その服も目立つけど赤よりマシだろとは続ける。
手にした白い服に残っているのはまだ来ていた人の温もりと安心する香り。
「……。ありがとォー」
「どういたしまして」
「じゃぁ、まずはどこに行く〜?最近おいしいケーキ屋さんができたんだってぇ」
「それもいいけど、最初に服屋だな」
ロードはきょとんと首を少し傾げる。
「まずは、ロードの服どうにかしないといけねぇだろ」
「っ!ありがとう!と一緒に買い物〜!」
「はいはい。あんまり引っ付いたら歩きにくいから」
勢いよく抱きついてくるロードを支え苦笑をしながらもの口元には小さな笑み。
「AKUMAァ〜」
少女がモノのナマエを呼ぶと、どこからか出てくる数体の人ならざるヒト
「後始末よろしくねぇ」
指差した先には動かない屍
ピチャリ、ピチャリ、跳ねるはアカ
ピチャリ、ピチャリ、跳ねるはピンク
その上で踊るは二人の子供