「で、ココが×になってココが+」
「へぇ〜」
「おぃ!ロード聞いてるのか!?」
「聞いてるよぉ。ココが+でココが÷でしょー」
「違ーう!!!ココが×でココが+!!!」
「えぇー。どっちも一緒ジャン」
「全く違うっ!!!」
〜。そんな大きな声出したら疲れちゃうよー。
ほらっ。なんか今も肩で息してるじゃん。
それをに言うと、“誰の所為だよ。誰の所為”って返ってきた。
ん〜。ホント一体ダレの所為なんだろねぇ。
久しぶりに帰ってきてくれた。
それなのに僕の目の前にはたくさんのプリントの山。
折角が帰ってきたんだから一緒に遊びたーい。って言ったら、ペチリと頭を叩かれた。
もぅ。別にいいじゃんか、こんな山ほっといても。
僕はと遊びたいんだからァ。
「いいか、ロード。コレは誰が造った山だ?」
「えー。レロ?」
「レロは学校行ってないだろうが!」
「じゃぁ。ティッキーだ!!」
「ティキは仲間と一緒に鉱山だ!」
「ん〜。じゃー、大穴狙いの千年公〜」
「大穴狙いもクソもねぇだろうが!!!コレはお前が造った山!Do you understand!?」
「No 〜」
「ロード!!!」
「あ!コレって√だったけ?」
また肩を落としてため息をつくに“幸せが逃げてくよォ”とケラケラ笑いながら言ってみた。
そしたら、もう一度ため息。
あーぁ、今ので2回は逃げちゃったねぇ。
たしかにさァ、僕らの目の前にあるプリントの山は僕が造ったよォ。
だって、学校の勉強なんてやる気がないんだもん。
出された宿題とかやらなかったら、いつの間にか倍に倍にネズミのように増えていって。
何でだろうねぇ?
「いや、それはお前が宿題やらなかったから追加課題が出されたんだつーの。さぁ、やるぞ宿題」
「えぇー」
「えぇー。じゃない」
「ぶぅー」
「はいはい。頬膨らましても、宿題は減ってくれません」
ぽふ。っと僕の頬から空気が抜けていく。
僕の顔に添えられたの手。
何さァ。つぶさなくてもいいじゃんか〜。
しぶしぶ、ペンを持って紙の上を走らせて答えと思しきものを書いていく。
数学なんて適当に数字書いとけば当たるでしょ。
はい。一枚終わり!
「・・・・・ロード。ちゃんと解いてるか?」
「解いてる。解いてる。次ちょうだい〜」
そんなこんなで、どんどん小さくなっていくプリントの山。
も僕が適当な数字を書いていってることが分かってるみたいだけど、ため息をついて知らないふりをしてくれた。
あ〜。3回は幸せが逃げたねぇ。
まぁ、が見ないふりを決め込んでるのは諦め半分なんだと思うけどォ。
だって、普通に解いてたら絶対終わらないもんこの宿題。
それに、折角が帰ってきたんだし、僕は早くと遊びたーい。
「アッサムとアールグレイとオレンジペコ。どれがいい?」
「アールグレイのミルクティー」
「了解」
席を立って調理室に向かっていく。
山も少し減って、今からちょっとしたティータイム。
今日のお菓子は何かな?なんて少し期待しながら待ってる。
だってさ、が帰ってきたら特製のお菓子が食べられるしぃ。
の作ったお菓子は美味しいんだよ〜。
の座ってたテーブルを見るとそこにはキレイな文字が書いてあるプリント。
僕の目の前にあるプリントより少し難しい文字の羅列が並んでいる。
ってば、やさしいよねぇ。
「なに笑ってんだよ」
「何でもなァーい」
「おかしなやつ。はい」
僕の前には美味しそうなイチゴのケーキと湯気が立ってるミルクティー。
ケーキを一口口に入れると、ん〜。おいしい。
の作ったものを食べると幸せな気分になれるから不思議だよねぇ。
「で、俺が取りに行ってる間少しは進んだのか?」
「えぇー。何のことォ」
「・・・・・・・ロード」
「うそうそ。わかってるってぇ」
「それなら、進んでるんだろうな?」
「うんん。ぜぇーんぜん」
「・・・・・・」
「ちょっと!!?まだ僕食べ終わってないんだけどっ!」
「はいはい。やっぱりティータイムは山を片付けてから!」
「えぇー」
「もう少しなんだから終わるだろ」
「そうだけどさー」
フォークの変わりに持つのはエンピツ。
ひどい。の鬼ぃ。
「なんとでも言え、なんとでも」
カリカリと僕のことを無視してペンを進めていく。
そんなに少し顔が綻ぶ。
ホントは、いつも一緒に居れないと宿題なんてやめて、たくさん喋りたくて。たくさん遊びたくて。
不満だらけだけど、ふと、こうやってと同じ空間にいられるだけでもいいかなって思う。
だって、はアッチの仕事が忙しくても必ずホームに帰ってきてくれるって知ってるから。
ホームの近くで仕事があったときも少ない時間の中で、会いに来てくれるって知ってるから。
「終わったぁー!」
「ごくろうさま」
でも、やっぱり一緒に居るだけよりも、と一緒に喋ったり、遊んだりしたほうが楽しい。
今度からはちゃんと宿題もしようかなぁ。なんて思った。