+++++ Warm wind +++++
コーヒーを飲んでいるといきなり飛んできた毛糸の.....塊?
イヤ、塊にしちゃボロボロのような気もするが……
「ロード。途中で投げ出しちゃいけませんよ♥
どこまで編んだかわからなくなるじゃないですカ♥」
「だってぇー。僕にこんな単調な作業は最初から無理なんだよぉー」
「そんなこと言ってたら、できあがりません♥」
「それもイヤだぁー」
「じゃぁ、頑張りマしょう♥」
どうやら、この毛糸の塊はロードの編んだものらしい
えっ?でも、これってどーみてもボロボロの毛糸の塊にしか見えないんですけど……
編み物って呼んでいいものなのか?
「あぁ、ティキが拾ってくれたみたいですね♥ありがとうございマス♥
それにしても、ロードには困りモノですヨ♥編み物したいって言うから教えてあげているのに
すぐに投げ出すんデスから♥オャ?編み棒が一本ありませんね♥?ロードまた最初からですヨ♥」
「え゛ー!?」
「仕方ないでしょ♥アナタが投げたりするから♥」
「ティッキーがちゃんと受け取らないからぁ」
「俺のせいかよ!?」
「はぃはぃ♥オシャベリはそこまで♥早くやらないとクリスマスに間に合いません♥」
「それは困るぅ」
「じゃぁ、まず今まで編んだのをほどいてくださいね♥」
「あ゛ー。また始めから……」
クリスマス?
ホント、コイツら何作ってるんだよ?
「ロードたまは、たまにマフラーを作ってるんレロ」
「マフラー?あの毛糸の塊がか!?」
「そうレロ。
『にマフラー作ってプレゼントにするんだぁ』
って伯爵たまに言ってたレロ。
でも、今までに5回も最初からやりなおしてるレロロ」
「・・・・」
そりゃ、あんな単調な作業ロードの性格上最後までやり切れるほうがおかしいって
コーヒーを口に含みながらロードのほうを見ると眉をひそめながらも一生懸命に手を動かすロード
その隣には、自分も編み物をしながらロードに細かいところを教えている千年公
―――うん。高速で編み物が完成していく千年公の手元は見なかったことにしよう
「ティッキー!見てみてぇ、マフラー完成ぃ!」
ロードが完成したマフラーを嬉しそうに持ってきたのはそれから、もう少し時間がたったころ
見せてきたそれは少しほつれが目立ってたけど、俺見た毛糸の塊よりはマフラーに見える
そんなマフラーだったけどのことを思って頑張って作ったんだろうな
―――喜んでもらえるといいな
ロードの頭をクシャリと撫でて俺は仕事に向かった