***** Snow white *****
「ー!朝ァ!」
「...ねむい......」
「そんなこと言わないで、遊ぼうよォ」
「...ロード。いいか?俺は仕事で疲れてんの。久しぶりの休みなんだから休ませろ!」
「うわっ!」
グィとが毛布を引っ張ったせいで、ベットの上から転がり落ちる。
ちょっとォ!すごく床冷たいんだけど〜!
風邪引いたらどうするのさぁ!
声に出して言っても「バカは風邪ひかねぇだろ」
ってに足蹴にされるだろうから、床からベットの上を睨み付ける。
でもそこには規則正しく上下する毛布の塊。
「!起きてェー!雪降ってるよー!」
「っ!?寒っ!」
「ほらぁ、外見て外!真っ白!」
「わかったから、窓閉めろ!寒い!」
勢いよく開けた窓から粉雪が部屋の中に進入してくる。
スッと冷えるような冷気で完全に覚醒したのか、半分起き上がって文句を言ってくる。
でも、僕にはそんなこと聞こえなァーい。
近くにあった白いコートをに持たせて背中を押して扉へ向かう。
よしっ!コレで遊ぶ準備万端!
振り向きながら「久しぶりの休みだから休ませろ!」てまだ喚いているだけど、
そんなのぜーんぶ無視。
だっての仕事が休みのときしか僕もに会えないんだよ。
だから、が休みの時はたくさんたくさんと遊ばなきゃ。
「寒ぃ」
「キャハハ、見て見て!一面真っ白!」
「そりゃ、見ればわかるっての。ロード寒いから中入ろうぜ」
「イヤだー!ゆきだるま作ろうゆきだるまぁー!」
「俺、素手なんだけど!?」
「作るならやっぱり大きいのだよねぇ!と言うことで、僕が上で、が下!」
「聞け俺の話し!」
小さな雪の塊を転がしながら、の方を見るとあきらめたようにも雪の塊を転がし始めていた。
さすが、僕のー。
僕が少しわがままを言っても、聞いてくれるんだもん。
そんなだから大好き。
「で…。どうするんだよ…」
「どうしようかァ?」
出来上がった二つの大きな雪の塊。
アハハ、大きく作りすぎちゃった〜。
その塊は大きすぎて、未だに二つに分かれたまま、横に並べて置いてある。
調子に乗って転がしていったら、いつのまにかこんなに大きく。
僕の方の頭にはもう顔がついていて、端から見たらごとんと顔が落ちちゃった未完成のゆきだるま。
「このままでいいか...」
ちょっと!そんなこと言わないでよぉ!
せっかく作ったんだから完成させようよ〜。
「何やってるんだ?」
「えっ?ティキ?」
「あっ!ティッキー。どうしたのォ?お仕事じゃなかったァ?」
「……。オマエらどうして俺が帰ってくるたびにそんな反応するんだよ…。俺が帰ってきちゃ悪いのか?」
「「・・・・」」
「いや、そこでウソでもいいから何か返してください…。俺が寂しいだろ?」
「ティッキーが首傾げてもカワイくなぁーい」
「ロード...。鋭い突っ込みアリガトウ」
アハハ。どういたしましてぇ。
なんか、ティッキーの表情が固まってるけど…そんなに外寒ぃ?
「それにしても、。寒々しい格好してるなぁ。手袋とかマフラーとかどうした」
「あ゛ーどうしたかな?まだイイヤとか思ってたら、出さずじまい?でも、無くしたかも?」
「変なところで、面倒くさがりやだな。じゃぁ、新しいの買ったら?」
「んー。そしたらいいと思うんだけど、行く時間ねぇし。でも雪の日は辛いよな」
「ふーん....ゴフっ! ロードっ!?」
「ティッキーのいじわる!」
「はぁ? ゴフっ!」
ティッキーは知ってるくせに!
なんでにそんなこと言うのさぁ!
次々に雪を丸めていって投げつける
ティッキーの黒い服もだんだんと真っ白に
「ロードやめ...うっ!……ロードォ?覚悟はできてるだろうな?」
今のは、手が滑ったんだってばぁ
ティッキーに投げようとしてたらに間違って当たっちゃったんだって!
わわわっ!そんなに投げてこないでよぉ!
「問答無用っ!」
「疲れた……」
「オマエら体力ありすぎ…少しは老人を労われ」
「ティッキーおじいさんだったわけぇ?」
「イヤ、間に受けるなよ…。てかせっかく正装してきたのに台無し」
「今日何かあるっけ?」
「オイオイ。今日は千年公がクリスマスイブだからパーティするって集合かかってただろ」
「そうだっけぇー?」
と2人で首を傾げる。
そんなこと気にしてなかったからなぁ。
って言うか今日クリスマスイブだったんだ。
が帰ってくるって事で浮かれてたから気付いてなかった。
だって僕にはが帰って来てくれることがクリスマスよりも嬉しいから。
「ほら、そろそろ時間になるからホームん中入って着替えて来い」
「えぇー。もうちょっとと遊びたぃ。だってお休み今日だけなんでしょー?」
「また帰ってきたら遊んでやるから。遅れたら千年公に怒られるぞ」
「ぶぅー。絶対だよぉ?」
「寒いから、今度はホームの中な」
「じゃぁ、お人形遊びねぇー。」
「ちょ!ロードそれはやめよう!!!」
そんなに必死な顔になんなくても、キレイにしてあげるってぇ。
歩きながら寒そうに手をこすり合わせる。
「はぃ」
「はぁ?....えっ?ロード!?」
自分のしていた手袋を一つ外してに渡して、
手袋のなくなった左手での右手を掴んで走り出す。
―――の手は冷たかったけど、繋がったところは暖かいような気がした。
今日はクリスマス。
はお仕事でもういないけど、枕もとにはたくさんのプレゼント。
新しい服はティッキーからでぇ、お菓子の山は千年公から〜。
他の兄弟からもたくさんのプレゼントォ。
でも、その中で一番目を引いたのは山の中にちんまりとあった小さな箱。
気になって早速開けてみたら、そこには銀色のシンプルな指輪。
箱の中には、カードも何にも入っていない。
Dear.road From.――……
指輪の内側に彫ってあったのは僕の名前と大好きなキミの名前。
ありがとぅ。。
指輪は大きすぎて僕の指にはぶかぶか。
でもいつか僕が大きくなってこの指輪ははめられるようになったら、
が僕の薬指にはめてくれるといいなぁ。
は僕のプレゼント気に入ってくれたかなぁ?
「おかえりぃ。どこ行ってたんさー?」
「んー。お世話になってる家族のところ」
「そっか、昨日休みだって聞いてたけどホームにいなかったから心配した」
「ごめんごめん。一言言って行けばよかったな、で何の用?」
「あっ!そうそう、クッキーサンキュー。いつも思うけどの作った料理はジェリーさんに負けないぐらい美味いよな。お店でも開けるんじゃない?」
「そこまでないって、俺もプレゼントありがとうな」
「みたいに作れないから、お店で買ったものだけど気に入ってくれたみたいでよかったさー」
「あはは」
「…んっ?、マフラーなんてしてたっけ?」
「イヤ、これは……サンタクロースからのプレゼント」
「サンタクロースなんて信じてるんさ?まぁ、らしいけど…少しほつれてるみたいだけど。暖かい?」
「すげぇ、暖かい」
相手が一生懸命に作ってくれたことがわかる少しほつれが目立つ白いマフラー。
その不器用なマフラーはとても暖かかった。