台風一過




――― じャ、ティキぽん。よろしくお願いしマスね♥


はぁ・・・・。

ため息をつきながら、リビングまでの道のりを歩く。どうやら、千年公はこれから用事があるらしい。そんなこんなでオレが押し付けられたのは、子守り。
子守りなんて、アクマにやらせればいいだろ。と思ったが、「アクマにアノ子たちの子守りを任セたら、全部壊されちゃいマス♥」と言われたら妙に納得してしまう。
どうやら一番最年長のノアは、今この家でオレしかいないらしい。オレだってあいつらの面倒みるのはごめんこうむりたいのに。
もう一度ため息をつきながらドアノブに手をかけた。

「「ティッキーすきありぃー!」」

ぱちゃり。と顔にかかってくるのは冷たいもの。

ー。ティッキーには、ぼくがあてたんだってばぁ」
「おれがあてた!」

水鉄砲片手に無邪気に笑うは千年公から任された子供たち。
部屋の惨状は言わずもがな。想像するのも恐ろしい。
おこるなおこるな。オレはおとなだ。

「「ヒヒ!二人ともゆだんたいてき!」」
「「ぎゃ!!」」

ふえる。こども。
おこるなおこるな。オレはおとなだ。

「てめぇら、何してんだ?」

そんな、オレの心優しい問いかけに返ってきたのは、顔面に水。

「暑いから、みんなで水遊び」

そう答えたのは、最近ココにやってきた悪魔の子。
ほかの三人はオレの話は聞く気すらないようで、互いにびっちょりになりながら水を掛け合っている。
部屋を見渡すと、やっぱり見るも無残なことになっていた。あーあー。びちょびちょのカーペットとかどうするんだよ。

「・・・つべた!」
「やっりぃ!ティキにもヒット!」

おこるなおこるな。オレはおとなだ。

「ジャスデビぃ!さっきのお返しっ、かくごしろよぉー」
「ヒヒ!そんなよわっちぃの当たるかよ!」
「よし!いっけぇ、ー!」
「いえっさー!」
「ひでぇ!二人でやるなんて、ひきょうだぞ!」
「「ぎゃ!」」
「「やったぁー!!」」
「そっちが、二人でくるなら!行くぞ!ジャスデロ!」
「覚悟しろよー!ヒヒ!」

おこるなおこるな。オレはおとなだ。

「あー!てめぇら、避けるなよ!」
「デビットのたまなんか、あたらないよー!」
「言ったな、!っぎゃ!」
「ヒヒ!」
「ジャスデロ!仲間じゃなかったのかよ!」
「うわっ!つめたっ。」
「ロード!すぺしゃるあたーく!!」
「「「ぎゃい!!」」」

おこるなおこるな。オレはおとなだ。

ぴしゃり。
・・・・。






「テメェら、そこに正座しろーー!!」




子守りは大変です。
06.07.20