あたしはあなたにとらわれたのよ。


金魚掬い


優しい提灯の光がふわふわと、笛と太鼓の音も聞こえてきた。
あたしの手には、りんごあめにヨーヨーに、が射的で取ってくれた
かわいいウサギのぬいぐるみ。
は射的も得意。
あたしが何回やっても取れなかったウサギのぬいぐるみを一発で取ってくれた。
パーン!と一発。
笑顔でぬいぐるみを差し出してくれたはやっぱりカッコイイ。
「ねぇねぇ、!あたしアレやりたい!」
「ん?」
焼きとうもろこしをかじっているが振り向く。
あはは。ほっぺにとうもろこしのくずがついてるよ。
「金魚掬い?」
「うん!」
あたしが指差す先には、紅い鮮やかな金魚。
「じゃぁ、いっちょ、俺の華麗な技を見せてやるか!」
「あはは。なにそれー!」
と一緒にいるとホントにたのしい。
「おじさん。よろしく!」
も子供みたいに無邪気に笑う。
金魚掬いのおじさんから紙の網をもらって、どの金魚がいいかなぁ
なんて思いながら水面を眺める。
網を水面に浸して金魚を追いかけた。
金魚を乗せてゆっくりと水からあげるけれど、破れてしまう紙。
「あーあー。破れちゃった」
破れた紙の穴から水面に戻っていく金魚。
あーあー。金魚ほしかったのになぁ。
あたしが残念そうな顔をしているのがわかったのか
がもう一度おじさんにたので網をもらっていた。
ひょいと、一匹おわんの中に金魚が入る。
「すごーい!」
「だろ?」
そう言ってはニカリと笑った。

頭上に咲くは綺麗な花。
あたしの手には、りんごあめにヨーヨーにウサギのぬいぐるみに。そして金魚。
とうめいな袋の中で金魚はゆらゆら泳ぐ。

と一緒にいる時間は、すぐ過ぎ去る。
それは、残念なことだけど、でもとってもと一緒にいるときはいつも楽しい。

いっしょに空を眺めながら、提灯の火がともっていく中をあるいていく。



あたしはあなたにとらわれたのよ。












06.07.21